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領域紹介

戦略目標

「先制医療や個々人にとって最適な診断・治療法の実現に向けた生体における動的恒常性の維持・変容機構の統合的解明と複雑な生体反応を理解・制御するための技術の創出 」

研究総括

研究総括: 春日 雅人

春日 雅人(国立国際医療研究センター 総長)»詳細

本研究領域は、生体をひとつの恒常性維持機構としてとらえ、生体の動的な恒常性の維持・変容機構を解明するとともに、老いや生活習慣病等の疾患のメカニズムの解明に挑戦する研究を対象とします。このような研究を推進することにより、生命体を統合的に理解することが可能になり、対症療法でない、生体全体を理解した上での診断・治療法の開発や年齢・ライフステージに応じた最適な医療の実現を目指します。

 具体的には、下記の視点をもった研究を推進します。

  • (1)多臓器間の機能ネットワークを体系的に捉える視点
  • (2)恒常性維持機構の時間的変化を捉える視点
  • (3)疾患の原因としての恒常性維持機構の破綻を捉える視点

 以上の視点を踏まえて、神経系・免疫系・内分泌系・血液系等の既に構築されている学術領域を超え、生体を1つの 機構としてとらえた、分野横断的な研究を対象といたします。

研究総括の募集・選考・研究領域運営にあたっての方針

生体には、外界からの様々な刺激や外部ストレスに適応応答を起こし、内部環境である体内を安定した状態に維持する機構、すなわち恒常性維持機構が存在し、これは生命現象の基本原理のひとつであると考えられてきましたが、非常に広範かつ複雑な機構であるために最近までほとんど解析されてこなかったというのが現状であります。しかしながら、近年の遺伝子改変マウス作製技術の進歩は臓器間シグナルクロストークの存在を明らかにしました。そして、各種の網羅的検索技術の進歩やバイオインフォマティクスの進展に加えてスーパーコンピューターの性能向上等により、多臓器間の機能ネットワークで結ばれた恒常性維持機構とその破綻のメカニズムを統合的に理解する機が今まさに熟してきたと言えると思います。

 本研究領域では、多臓器間の機能ネットワークの解明とその制御を目指す研究、発達から老化までのライフステージに応じた恒常性維持機構の変容の解明を目指す研究、発症を恒常性維持機構の破綻という視点から生活習慣病の発症機序の解明ならびにその制御を目指す研究を対象とします。以上の研究を進展させることができれば、副作用のない創薬の開発や、対症療法ではない生体全体を理解した上での診断・治療法の開発、更には患者さんのライフステージに応じた最適な医療を実現することができ、高齢化社会に必要な先制医療の基盤技術の創出に大きく資することになります。

 生体の動的恒常性維持機構という広範かつ非常に複雑な系を理解するには多面的な視点や考え方が必要なのは明らかであります。そこで、本研究領域では「多臓器間機能ネットワークとその統合」という切り口で、神経学・免疫学・内分泌学・血液学等の既に構築されている学術領域を越えた視点を持った研究課題を、臨床医学、基礎医学、基礎生物学の分野から募集したいと思います。本年度も昨年度に引き続き、上記の分野に加えて、恒常性という生命現象に対する新たな原理や概念の創出を目指して、数理生物学、システム生物学を含めたさまざまな分野からの応募についても期待したいと思います。そして、このようなさまざまな分野の研究者が一堂に会して活発に交流することにより相乗的な効果が生じ、それが各研究における新しい視点としてフィードバックされることを期待するものです。今回が募集の最終年度となります。最終の募集を飾る自由な発想による創意に満ちた挑戦的な研究提案をお待ちしていますので奮って応募して頂けたらと思います。

"生体における動的恒常性維持・変容機構の解明と制御"パンフレット(PDF:約1000KB)