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藻類・水圏微生物の機能解明と制御による、バイオエネルギー創成のための基盤技術の創出
藻類・水圏微生物の機能解明と制御による、バイオエネルギー創成のための基盤技術の創出
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研究チーム・研究者紹介

さきがけ 3期生

粟井 光一郎

粟井光一郎
静岡大学学術院理学領域生物科学専攻 准教授

ラン藻ポリケチド合成酵素を用いた脂質生産

本研究では、窒素固定能を持つ糸状性ラン藻Anabaena sp. PCC 7120株で、ポリケチド合成酵素を用いた脂質生産を行います。この株は、窒素欠乏条件でポリケチド合成酵素によって脂質の一種、超長鎖脂肪酸アルコールを合成・蓄積することが知られています。この仕組みを利用し、光合成能・窒素固定能を維持したまま、遺伝子改変によって高効率に脂質を合成し、さらに蓄積または細胞外に放出する株を作出します。

ラン藻ポリケチド合成酵素を用いた脂質生産

岩堀 健治

岩堀健治
科学技術振興機構 さきがけ研究者
(奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科 博士研究員)

藻類由来フェリチンの機能強化によるナノマテリアル生産システムの創成

本研究では低濃度金属イオン環境で機能することができる特殊な藻類由来フェリチンタンパク質のバイオミネラリゼーション能力を強化し、コントロールすることで種々の極限環境でも生育可能な藻類細胞の開発と有用金属回収を目指します。本研究によって、海洋や鉱山、工場などの廃水や廃棄物から極低濃度の有用金属を回収し、直接ナノ電子デバイス作製を行うバイオナノマテリアル生産システムの構築が可能となります。

遠藤 博寿

遠藤博寿
科学技術振興機構 さきがけ研究者
(東京大学大学院農学生命科学研究科 東京大学農学共同研究員
 大気海洋研究所 分子海洋生物学分野)

高脂質含有円石藻Pleurochrysis carteraeの形質転換技術の確立と有用脂質高生産に向けた応用

円石藻は世界中の海に広く分布し、二酸化炭素を大量に固定することで海洋の炭素循環に大きな役割を担っている微細藻類です。中でもPleurochrysis carteraeは、脂質の含有量が高く、大量培養が可能なことから次世代のバイオエネルギーの原材料として期待されています。本研究では、同種の形質転換技術の確立を軸とし、脂質代謝系の解析および燃料として有用な脂質を効率よく生産する株の作出を目指します。

柏山 祐一郎

柏山祐一郎
福井工業大学環境情報学部環境・食品科学科 准教授

クロロフィルの光毒性を利用した植食性原生動物の繁殖抑制農薬の開発

藻類培養の現場では、培養地に侵入する原生動物による食害が大きな問題です。本研究では、原生動物が持つ「クロロフィルの光毒性(活性酸素を発生させる能力)を回避する代謝系」において解毒機構を解明し、その機能を阻害する酵素阻害剤を開発することで、原生動物を駆除する技術を確立します。将来的には、食害を抑制し、屋外開放系における高効率・低コストな有用藻類生産の実現を目指します。

クロロフィルの光毒性を利用した植食性原生動物の繁殖抑制農薬の開発

木村 浩之

木村浩之
静岡大学学術院理学領域地球科学専攻 准教授

付加帯エネルギー生産システム創成に向けた基盤技術開発

南西日本の太平洋側に分布する厚い堆積層「付加帯」の深部地下水に含まれる微生物群集を利用したエネルギー生産システムの創成に向けた基盤技術を開発します。特に、微生物群集の網羅的遺伝子応答解析を試み、水素ガス・メタン生成を担う微生物共生メカニズムについての理解を深めます。さらに、広範囲の付加帯地域にて深部地下水、遊離ガス、微生物群集の解析を試み、高効率のエネルギー生産が期待できる付加帯エリアの特定を目指します。

付加帯エネルギー生産システム創成に向けた基盤技術開発

斉藤 圭亮

斉藤圭亮
東京大学 先端科学技術研究センター 講師

藻類の光吸収制御のための理論的基盤の確立

単一の波長の光しか吸収できない藻類を別の波長も吸収できるように改変できれば、今まで利用できなかった光を活用できます。本研究では、光吸収波長域を自在に変えるだけでなく、アンテナ蛋白質間のエネルギーの流れも最適化する変異体の創成を目指し、蛋白質構造に基づく理論解析を行います。これにより藻類の光吸収チューニング技術の基盤を確立し、あらゆる藻類によるバイオエネルギー生産効率の飛躍的な向上を狙います。

「藻類・水圏微生物の機能解明と制御によるバイオエネルギー創成のための基盤技術の創出」研究領域

塚谷 祐介

塚谷祐介
東京工業大学 地球生命研究所 WPI研究員

巨大光捕集器官クロロソームを利活用した生理活性物質・脂質の大量蓄積系の構築

弱光環境で生育する光合成微生物は糖脂質膜で覆われた光捕集体『クロロソーム』を持ち、その内部には多量の色素分子が存在します。本研究では、色素合成系を制御してb-カロチン色素等の生理活性物質をクロロソーム小胞内に大量に蓄積するための基盤技術を構築します。さらにクロロソームの生合成過程を明らかにしてその内部及び小胞膜へ移行する物質を自在に選択・操作することで、応用性の高い物質生産系の開発を目指します。

巨大光捕集器官クロロソームを利活用した生理活性物質・脂質の大量蓄積系の構築