科学技術振興事業団報 第99号


平成11年3月9日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「医療用挿管イメージガイド」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、慶應義塾大学理工学部 教授 小池康博氏らの研究成果である「医療用挿管イメージガイド」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 麻酔や集中治療、救急医療における人工呼吸の際には、気管に気管内チューブと呼ばれる管を挿入して気道確保が行われている。気管内チューブの挿入は、多くの場合手探りで行われているが、誤って食道に挿入したり、治療中にずれたり、はずれた場合、重大な事故に繋がるため、挿入時の様子や治療中の挿入具合などを、目で確認できるようにする器具が求められている。この他にも、体腔や器官内に貯留した血液、その他の分泌物などを吸い出すために用いる吸引管や、各種カテーテルなど、管状の医療用具のほとんどは、現在、手探りで体内に挿入しており、このような操作について、目で確認しながら操作できるようにする技術への要求は極めて大きい。
 本新技術は、プラスチック光ファイバー1本で体内の画像を伝送し、固体撮像素子を介してビデオモニタに高解像度で映し出す医療用具に関するものである。画像伝送に用いるファイバーは、周辺から中心に向けて屈折率を高めることにより、1本で画像伝送を可能としたものである。モノマー液に屈折率分布を形成する材料を添加して、その濃度が適切に分布するようにプラスチックの棒材を製造し、これをファイバーに引き延ばすことで極めて安価に製造できる。現在、手探りで行われている気管内チューブや吸引管等の体内への挿入を、映像で支援するガイドとして手軽に使用でき、挿入時の安全性の向上や、患者及び使用者の負担軽減等に大きく貢献することが期待される。
 本新技術の開発は、スカラ株式会社(代表取締役社長 山本正男、本社 東京都渋谷区代々木3-28-6、資本金 5,500万円、電話03-3378-6101)に委託する予定で、開発期間は2年6ヶ月、委託開発費は1.5億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「医療用挿管イメージガイド」(背景・内容・効果)

開発を実施すべき新技術の評価

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