科学技術振興事業団報 第98号


平成11年3月9日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「生体活性傾斜機能を有する人工股関節」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、京都大学工学研究科教授小久保正氏らの研究成果である「生体活性傾斜機能を有する人工股関節」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 近年、高齢者の増加とともに、股関節の変形、慢性関節リウマチ等により、患者に激痛をもたらし、また寝たきりの生活が強いられている。このため、高靭性、耐食性に優れかつ軽量のチタン合金を利用した人工股関節の開発が進められている。その際に、チタン合金と骨組織との適合性を向上させるために、水酸アパタイトをチタン合金表面にコーティングする方法がとられているが、水酸アパタイトとチタン合金との密着性や、生体内での水酸アパタイトの消失等の難点があった。そのため、チタン合金自身に生体骨と結合できるような生体活性を付与する技術が望まれていた。
 本新技術は、チタン合金にアルカリ処理と加熱処理を施すことにより、チタン合金表面にアモルファス状のチタン酸ナトリウム層を傾斜的に形成させ、生体内にて生体骨類似のアパタイトを生成する機能を付与した人工股関節に関するものである。本新技術は、簡便な工程で人工股関節に生体活性を付与でき、かつ傾斜機能により生体骨と強く結合できる特徴を有しており、変形性股関節症や慢性関節リウマチ患者に対する人工股関節置換術による治療への利用及び術後の生体骨との固定の長期安定性の実現が期待される。
 本新技術の開発は、株式会社神戸製鋼所(代表取締役社長 熊本昌弘、本社 兵庫県中央区脇浜町一丁目3-18、資本金 2,136億円、電話 078-261-5111)に委託する予定で、開発期間は3年、委託開発費は2億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「生体活性傾斜機能を有する人工股関節」(背景・内容・効果)

開発を実施すべき新技術の評価

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