ごみ固形燃料の石炭混合微粉化によるバーナー燃焼システム


本新技術の背景、内容、効果は次の通りである。

(背景) RDFの燃焼特性を十分に活かせる燃焼システムへの要求

 ごみ処理の方法の一つとして、広く用いられている焼却処理は、ダイオキシン発生問題への対策や、焼却時の熱エネルギーの発電等による有効利用などの観点から、大規模化が求められている。一方、可燃ごみを破砕した後、ペレット状に圧縮、成形して石炭のような固形燃料(RDF)に資源化する処理方法が、焼却を伴わず、小規模のごみ処理にも適用できる処理方法の一つとして注目されている。
 さらに、RDFは、粒径や燃焼性がごみに比べて均質化されていることと、製造の際に添加されるCaの効果により、焼却時のダイオキシンや塩化水素などの環境負荷物質の排出量も低減される上、輸送や貯留の取り扱いが容易なため、集積化による大規模発電も容易になることなどから、各地で実証試験や建設計画が進められている。
 しかし、発電や産業用ボイラなどの燃料として、RDFの本格利用を進めるには、RDFを燃料として、化石燃料並の信頼性や利便性をもって扱えるようにすることが必要と考えられ、着火性や燃焼速度等の点で石炭よりも優れるRDFの燃焼特性を十分に活かせる燃焼システムが求められている。

(内容) ごみを粉砕しやすいRDFに加工し、微粉化して、バーナー燃焼するシステム

 本新技術は、粉砕しやすいRDFを製造するとともに、これを石炭と混合・粉砕することにより、効率よく微粉燃料を製造し、バーナー燃焼するシステムに関するものである。
 本研究者等は、RDFの燃焼特性が、着火性や燃焼速度等の点で石炭よりも優れることから、RDFも微粉化してバーナー燃焼することが、燃料としての価値を高めることに繋がると考えた。これまで我が国では、RDF化によるごみの輸送性や貯留性の向上のみが大きく注目されてきたことから、ペレット状に成形したRDFを微粉燃料とする試みは、ほとんど行われていない。研究者等は、RDFの製造方法を工夫して、粉砕しやすいRDFを製造することにより、RDFを効率よく微粉化できるとともに、少量の石炭と混合・粉砕することで、RDFと石炭の相乗効果により、さらに微粉化の効率を向上できることを見出した。微粉バーナーによる燃焼方式は、ごみ処理に用いられる燃焼方式と比べ、小規模の燃焼施設でも、完全燃焼を行うための高温燃焼と燃焼制御を操作性良く行えることから、本新技術は、比較的小規模のごみ処理施設においても、ごみのエネルギーの有効利用を進める技術として期待される。さらに、安定燃焼を保ったまま、運転条件を調節できる範囲が広く、調節も容易であるため、エネルギーの需要に応じた運転ができ、ごみのエネルギーをより有効に利用できるようにする技術として期待される。

(効果) ごみ焼却施設の代替と、発電及び産業用ボイラ燃料等へのRDF利用の促進

本新技術によるごみ固形燃料の石炭混合微粉化によるバーナー燃焼システムは、

1. RDFから、効率良く高品質の微粉燃料を製造できる。
2. 完全燃焼を行うための高温燃焼と燃焼制御を操作性良く行える。
3. 運転条件の調節が容易で、RDFの高効率利用にも繋がる。
4. 施設規模の適用範囲が広く、比較的小規模のごみ処理施設にも適用できる。

などの特徴を持つため、

1. 都市ごみの焼却施設の代替施設。
2. 発電用及び産業用ボイラ。
3. 地域社会等における熱併給発電(コジェネレーション)システム。

などに広く利用されることが期待される。

(※)この発表についての問い合わせは、電話03(5214)8994 蔵並または坂本までご連絡下さい。

参考:本件に係る事前評価は、新技術審議会において行われ、評価結果などは別添の通りです。


This page updated on March 9, 1999

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