科学技術振興事業団報 第91号

平成11年2月8日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「セラミックス充填シース型熱電対」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、東京工業大学名誉教授 福長 脩氏の研究成果である「セラミックス充填シース型熱電対」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 熱電対は2種類の金属線の一端どうしを接合し、接合部に温度変化を与えるとその変化に対応する起電力が金属間に生じる現象を利用した温度計であり、測温が容易なことから、工業用などに多用されている。
 シース型熱電対は、熱による素線の劣化を防ぐために、素線を保護管(シース管)で覆った構造をもち、高温用温度計として、材料の製造や研究開発現場で幅広く使われている。特に、鋳造現場においては、注湯プロセスでの湯流れ制御が不可欠であり、そのためには、温度計の応答性がよいことが重要となる。しかしながら、これまでのシース型熱電対は、保護管や絶縁管のセラミックスを別々に焼成した後に、金属素線を内挿して組み立てるため、保護管内部に空隙が生じ、素線が酸化や断線しやすくなるなど、応答性や耐久性に問題があった。
 本新技術は、保護管と金属素線との間の空隙を排除するために、金属素線とともに、焼結時に体積膨張するセラミックスを充填して焼成し、金属素線、保護管、充填セラミックスが一体化した構造をもつ熱電対の製造に関するものである。このような一体化構造により、応答性や耐久性の改善とともに、金属素線として、測温上限値は高いが酸素侵入に脆弱なタングステン−レニウム素線を使用できるようになるため、鋳鉄溶湯などの高温でのくり返し測温に利用が期待される。
 本新技術の開発は、株式会社いすゞセラミックス研究所(代表取締役社長 井田義則、本社 神奈川県藤沢市土棚8番地、資本金4.8億円、電話0466-45-2727)に委託し、開発期間は2年間、委託開発費は2.9億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「セラミックス充填シース型熱電対」(背景・内容・効果)

開発を実施すべき新技術の評価

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