科学技術振興事業団報 第90号

平成11年2月8日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「微細薄片状酸化チタンの製造技術」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、科学技術庁無機材質研究所 主任研究官佐々木高義氏、総合研究官 渡辺 遵氏らの研究成果である「微細薄片状酸化チタンの製造技術」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 酸化チタン(TiO2)は、物理的、化学的に安定で、下地の色を隠す隠蔽力や着色性が良く、紫外線遮蔽効果もあるため、各種の塗料用の顔料や化粧品用紫外線遮蔽材、電子部品用誘電体原材料などに幅広く使用されている。現在実用化されている酸化チタンの形状はほとんどが粒子状のものであるが、薄片状の酸化チタンの製造が可能になれば少量の酸化チタンで物質表面を被覆し、紫外線を効果的に遮蔽することが期待できるため、より薄く、使用する時に良くのび広がる薄片状の酸化チタンの実用化が求められている。
 本新技術は、シート状のチタン酸がいく重にも積層した状態の層状チタン酸結晶を合成し、これを溶液中で撹拌して各層を剥離・分散させ、噴霧乾燥・焼成することによりバルーン状の酸化チタンとし、これを粉砕することにより微細な薄片状酸化チタンを製造するものである。本新技術による薄片状酸化チタンは紫外線吸収特性に優れ、表面を薄くカバーする展延性や密着性が良いため、紫外線遮蔽材、塗料などへの利用が期待される。また、製造工程の途中で得られるバルーン状の酸化チタン微粒子は、軽くて、気体や液体の流れに追随しやすく、流体の中でもはっきり見えるため、流体計測システム用のトレーサーなどへの利用が期待される。
 本新技術の開発は、石原産業株式会社(代表取締役社長 秋沢 旻、本社 大阪市西区江戸堀1-3-15、資本金37,028百万円、電話06-6444-1451)に委託し、開発期間は3年間、委託開発費は6億5千万円を予定している。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「微細薄片状酸化チタンの製造技術」(背景・内容・効果)

開発を実施すべき新技術の評価

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This page updated on February 15, 1999

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