科学技術振興事業団報 第88号

平成11年2月4日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「白色雑音による物理乱数生成装置」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、日本大学工学部情報工学科教授高木たすく相氏、九州工業大学情報工学部知能情報工学科助教授吉田 隆一(よしだ たかいち)氏、及び同学科助教授廣田豊彦氏らの研究成果である「白色雑音による物理乱数生成装置」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 今日のインターネットやイントラネットの普及に伴い、第三者による盗聴や改ざん、なりすまし等の犯罪が年々増加傾向にあり、暗号化による情報セキュリティが図られてきている。その暗号化において、乱数が不可欠である。従来は、関数の組み合わせによる計算式をコンピュータ上で演算して生成される疑似乱数が使用されている。しかし、疑似乱数の特性が、使用する関数の種類や初期設定に依存するため、暗号化システムが不十分な場合に、関数や初期設定が人為的に漏洩する危険性や、乱数生成パターンが予測され得る恐れが指摘されている。
 本新技術は、基準電圧を必要とする回路に使用されるツェナダイオードに逆バイアスを印加して発生する白色雑音(周波数に依存せず、全周波数成分を均等な強さで含んでいる雑音)を乱数源に用い、回路等からの雑音の混入をおさえつつ増幅、二値化した後に一定周期でサンプリングして、予測不可能性が高く情報セキュリティにおける暗号化に使用できる物理乱数を生成する装置に関するものである。本新技術により、小型の実用的なレベルの物理乱数生成装置を実現できるので、インターネット等の情報における暗号化の他、重要文書へのすかしのはめ込み、通信における電子署名認証等、情報セキュリティへの利用が期待される。
 本新技術の開発は、システム工学株式会社(代表取締役社長 長井剛一郎、本社 東京都千代田区神田錦町1-15-11、資本金 2,000万円、電話 03-3292-7816)に委託する予定で、開発期間は2年6ヶ月、委託開発費は3億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「白色雑音による物理乱数生成装置」(背景・内容・効果)

開発を実施すべき新技術の評価

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This page updated on February 15, 1999

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