科学技術振興事業団報 第84号



平成10年12月14日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226?5606(総務部広報担当)

「大視野3次元X線CT装置」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、科学技術庁放射線医学総合研究所(所長 佐々木康人)治療システム開発室長 遠藤真広氏及び東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター助教授鈴木直樹氏の研究成果である「大視野3次元X線CT装置」を当事業団の委託開発制度の平成5年度課題として、平成6年3月から平成10年3月にかけてソニー株式会社(社長 出井伸之、本社 東京都品川区北品川6-7-35、資本金4062億円、電話03-5448-2111)に委託して開発を進めていた(開発費約8億円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 近年、わが国において、肺がんによる死亡者の数が増加しており、肺がんの早期診断技術の開発に対する期待が高まっている。最近では、ヘリカルCTが肺がんのスクリーニングに使われるようになってきており、より小さい病変の診断も可能となってきている。しかしながら、このヘリカルCTを用いても、胸部全域のような広い領域を対象とした場合、検査に長時間を要したり、体軸方向の分解能が劣ることなどがあり、胸部や頭頸部などの広い領域を短時間で撮影し、高解像度の画像を得ることができる新しいX線CTの開発が要請されていた。
 本新技術は、円錐状の広がりを持つX線を被写体に照射し、得られた複数方向の2次元投影像から3次元画像を得るものである。装置は、X線源と検出器(蛍光板とCCDカメラ)が一体となって被写体の周囲を一回転しながら、蛍光板に映し出された2次元投影像をCCDカメラで360枚連続撮影し、これより3次元画像を構築する。構築された3次元画像は臓器などを含む広い領域を表示可能であり、高い空間分解能を有し、また不連続部を含まない。さらに撮影に要する時間は12秒(一回転)と、被検者の拘束時間が短かく1回の息止めで撮影が完了する。このため、肺、骨、循環器等の広い範囲の診断、治療計画の支援等への利用が期待される。

「大視野3次元X線CT装置」の開発に成功(背景・内容・効果)

開発を終了した課題の評価

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This page updated on December 16, 1998

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