平成10年度さきがけ研究21 採用研究課題概要

「情報と知」 研究領域


◆ 開かれた環境における実行時プログラム変換

  浅井 健一   東京大学大学院理学系研究科 助手
 本研究では、プログラムが状況に応じて変化したり、言語のセマンティクスが動的に変化するといった開かれた環境におけるプログラム変換手法、コンパイル手法の確立を目指します。


◆ EMアルゴリズムの数理的研究及びその工学的応用

  池田 思朗   理化学研究所脳科学総合研究センター 研究員
 EMアルゴリズムを数理的研究を基に,1) 神経回路網モデルの学習アルゴリズムの加速,2) 神経回路網モデルの構造学習アルゴリズムの開発,3) 独立成分解析(ICA)の音声処理やMEG データ解析への応用,を行います。


◆ プログラミング言語処理系の部品化

  一杉 裕志   工業技術院電子技術総合研究所情報アーキテクチャ部 主任研究官
 プログラムを部品化する新たな手法を開発し、言語処理系を部品化します。これにより、部品化されたパーソナルコンピュータと同様の爆発的進化を、プログラミング言語にも起こすことを目指します。


◆ 聴覚障害・言語障害を持つ読者のためのテキスト簡単化技術に関する研究

  乾 健太郎   九州工業大学工学部 助教授
 聾・失語症などが原因でテキスト読解能力が不足している人々のためのコミュニケーション支援を目的とし,一般のテキストを平易な表現と読み易いレイアウトに自動変換する技術の開発と評価を行います。


◆ 知の個人空間における履歴情報蓄積・管理・検索に関する研究

  川嶋 稔夫   北海道大学大学院工学研究科 助教授
 個人が体験したエピソードや、個人の思考活動の過程などの情報を自動的に蓄積してユーザーの情報検索、記憶想起のために利用する、履歴情報蓄積・管理・検索システムの開発を行います。


◆ ユーザの視点を取りいれた 学習ソフトデザインの研究

  楠 房子   多摩美術大学美術学部 講師
 本研究は、(1)学習者自身がコンテンツ作成に参加することによって、学習者の視点をとりいれる(2)グループ学習における参加の意欲を高め楽しめる教育用ソフトのデザインの開発、の2点に重点をおいた研究です。


◆ 位相空間データベースの時空間データへの応用

  黒木 進   九州大学大学院システム情報科学研究科 助手
 位相空間データベースを基盤として,時間変化する空間データを格納する時空間データベースを開発します。同時に時空間データベースのバーチャルリアリティインタフェースも開発します。


◆ 化学反応のニューラルモデル化による定量的反応予測の実現

  佐藤 寛子   理化学研究所有機合成化学研究室 研究員
 化学者の思考過程を模倣した化学反応のニューラルモデル化により定量的反応予測を実現を目指します.いまだ一般的に明らかでない化学反応の複雑さと多様さの新規かつ柔軟なモデル化による解明が研究のポイントです。


◆ 選択的聴取を行動的に測定する装置の開発

  高橋 雅治   北海道大学文学部 助手
 選択的聴取を行動的に測定する技術を開発し、その成果を聴覚的注意に関する認知研究、聴覚における仮想現実技術、および、聴覚障害児スクリーニングテストの開発等に応用します。


◆ ドメイン指向のソフトウェア開発環境

  千葉 滋    筑波大学電子・情報工学科 講師
 例えば、数値計算、並列処理、プログラミング言語など、特定の領域の専門知識をもったソフトウェア技術者が、各自の領域ごとに分担作業をしながら、一つのソフトウェアを開発するための開発環境を研究します。


◆ 次世代応用指向データモデルの開発

  遠山 元道   慶應義塾大学理工学部 講師
 次世代データモデルとして、関係データベースの内容を核とし、SuperSQL 言語とメディア抽象の三者によって各種応用データを統合的に管理する Trinity Data Model を開発します。


◆ 主辞駆動句構造文法を用いた言語獲得モデル

  鳥澤 健太郎  東京大学大学院理学系研究科 助手
 本研究では、人間が行う自然言語の獲得、学習に関するモデルを、制約ベースの文法、計算論的学習理論、統計的自然言語処理技術などを利用して構築し、現実世界に流通するコーパスを用いてその評価を行います。


◆ 人物行動を伝えるための知的映像撮影と編集

  中村 裕一   筑波大学電子・情報工学系 講師
 人間のコミュニケーションを補助するために,受け手側に代わって人間のプレゼンテーションや意思表示行動を多数のカメラで能動的に観測し, 適切な部分を適切に伝える知的システムの実現をめざします。


◆ Visibility Programming の研究

  原田 康徳   日本電信電話(株)基礎研究所 主任研究員
 ユーザが容易に機能を拡張できるシステムを構築するための新しいプログラミングパラダイム`Visilibity Programming (VP)'を開発します.VP では,関数の集合でシステムが構成され,システム上の全てのデータが任意の関数から「見え」なければならない,というものです。


◆ 新しい舞踊の創造のために脳で採択される評価関数の検討

  星野 聖    琉球大学工学部 助教授
 本研究では,創作舞踊に代表されるような全く新しい一連の順序運動を創造し獲得するため,中枢神経系がどのような評価関数を採択して運動指令の生成を行っているかを明らかにすることを目指します。


◆ 超広域高性能計算環境の基礎的研究

  松岡 聡   東京工業大学大学院情報理工学研究科 助教授
 高性能計算を超広域で行う仮想計算機構築のモデル、セキュリティと性能の両立、計算資源・負荷・ネットワーネットワーク接続速度などの情報収集および予測、などを、並列シミュレータを構築して実行し、基礎を確立します。


◆ エキスパートの情報処理モデルの構築

  松原 仁   工業技術院電子技術総合研究所知能情報部 主任研究官
 人間の専門家が専門領域の問題を解く過程のかなり詳細な情報処理モデルを構築します。例えば、将棋において可能な手の数が最も多くなる中盤において高々数通りの候補手だけを思い浮かべる過程のモデル化等を目指します。


◆ 自律最適化を支援する資源割り当て方式の研究

  松本 尚   東京大学大学院理学系研究科 助手
 分散処理環境において、過度の資源競合はシステム全体の性能を低下させます。競合時に資源使用要求の抑制を伴う最適化をユーザタスクが行うことがシステム全体のみならずそのタスクの利益となる資源管理方式を研究します。


◆ 近未来の並列処理に適した実装用言語

  八杉 昌宏   京都大学大学院情報学研究科 講師
 近未来の並列アーキテクチャで可能となる細粒度のスレッド管理方式や通信・同期方式を利用した高水準プログラミング言語の実装に適した実装用言語を、C言語を拡張することで開発します。


◆ WWW上を仮説探索する推論システムの構築

  山本 章博   北海道大学大学院工学研究科 助教授
 目標問題を解く途中で必要な仮説や補題とその証明を,WWW空間上に分散して公開された知識を目標に特化した形で利用し,見つからなければ新たな仮説として生成するような,新たな形の推論システムを構築します。



This page updated on September 25, 1998

Copyright© 1998 Japan Science and Technology Corporation.

www-pr@jst.go.jp