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「デバイス、システムへの展開も視野に入れた基礎研究」
上記研究領域に関する初年度の研究提案の募集が行われ、116件の申し込みがあった。 内容は新物質の合成、極微細構造の作成による新規の物性の発現、新しい極微細構造プロセス技術、新原理・構造に基づくデバイス、量子コンピューティングに係わる研究等多岐にわたっていたが、これを領域アドバイザーの方々の御協力を戴き、更に必要に応じ専門家によるピアー・レビューを行い、最終的には10件につき研究代表者及び若干の共同研究者に御来駕願って面接選考を行い、5件を採択した。本年度より企業に所属する研究者が研究代表者となることができるようになり、研究代表者の所属機関はNTT、電総研、理研、東大、早大であった。
選考に当たっては研究内容として電子、光子等の量子力学的な機能を制御することによりエレクトロニクスに新しいパラダイムを導入する可能性を有し独創的であること、学会、産業界での研究状況に鑑み本事業により研究が推進されねばならない必要性の高いこと、過去の研究実績及び計画されている研究組織より研究遂行能力が高いと判断されることが重視された。
従って期待される研究成果については、もちろん研究を行った後でなければ明確なことは言えないが、可能な限り定量的な検討、予測が提案時に行われていることが研究者に求められていることは巨額な公的研究費を使用することから当然であろうし、産業界等における研究資金をもって研究開発されるのが適当であるものについてはその可能性が探求されるべきと考える。
今回も数多くの創造的な研究提案を戴いたが、特に所期の成果の科学、技術的価値の高いことはもちろんのこと、社会的貢献の大きいことも重要な視点であった。科学・技術に係る知識・経験の積重ねを基盤とし、社会的要求に応じて意図をもって研究計画をたてることが、needsに整合したseedsを創り、それを芽生え育てることになり、過去においてprocess innovationはあったが、product innovationは数少なかったといわれる状況を脱却するのに役立つと思われる。
そのため来年度以降においても、現象の理解や技術の改善のみではなく、社会的インパクトの大きな研究提案がなされることを期待している。
This page updated on September 25, 1998
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