戦略目標


(1)戦略目標「大きな可能性を秘めた未知領域への挑戦」の下の研究領域

研究領域「生命活動のプログラム」 研究統括: 村松 正實
(埼玉医科大学 教授)

 この研究領域は、生物に特徴的な生命現象の基礎にある生命活動の本態を、主として分子レベルで解明する研究を対象とするものです。
 具体的には、高等生物の発生・分化・癌化・老化等を含む生命活動の基本にあるメカニズムやそれを遂行するプログラムについてさまざまな方向から追求するものであり、分子レベルの解明を必要とする種々の研究の基礎ともなるものです。

研究領域「生体防御のメカニズム」 研究統括: 橋本 嘉幸
((財)佐々木研究所 所長)

 この研究領域は、生物が自らを守るために備えている生体防御のメカニズムについての研究を対象とするものです。
 具体的には動物から植物に至る種々の生物の備えている免疫機能や外敵防御の機構を、個体、組織、細胞、分子・遺伝子等の観点から追及します。さらに生体防御の破綻を引き起こす種々の疾病(免疫関連疾患、ウイルス性疾患、癌等)の誘因や、その診断・治療および予防に関する基礎生物科学的な研究も対象とします。 

研究領域「量子効果等の物理現象」 研究統括: 川路 紳治
(学習院大学 教授)

 この研究領域では、原子レベルでの極微細構造に特異的に現われる量子効果等の物理現象についての研究を対象とするものです。
 具体的には、固体内の分子、原子、電子等のふるまいや、それに伴うさまざまな量子効果等についての研究が含まれます。また、このような量子効果以外の極微細領域に現れる現象の先端的研究も対象とします。

研究領域「単一分子・原子レベルの反応制御」 研究統括: 山本明夫
(早稲田大学客員教授)

 この研究領域は、単一分子・原子レベルの反応に注目し、新規な物質や狙った物質を得る各種の化学反応の研究を対象とするものです。
 具体的には、反応場での分子・原子レベルの反応を理解し、それを制御する反応等を物理・化学・生物的観点から追求すること等が含まれます。特に、各種の化学反応を究極的に制御し、伝統的化学の方法論のブレークスルーにつながるような先端的研究を対象とします。

研究領域「極限環境状態における現象」 研究統括: 立木 昌
(金属材料技術研究所 客員研究官)

 この研究領域は極限環境下における物質の現象についての研究を対象とするものです。
 具体的には、超高温、極低温、超高圧、超高磁場、極高真空、微小重力場等の極限状態において特異な物理・化学的現象を示す物質を分子・原子・電子のレベルで解明すること等が含まれます。また、新物質の創製、極限環境の創出技術、実用材料の開発へ道を拓くような先端的研究や特殊環境下における生物の機能についての先端的研究も対象とします。

(2)戦略目標「脳機能の解明」の下の研究領域

研究領域「脳を知る」 研究統括: 大塚 正徳(日本臓器製薬(株)
生物活性科学研究所名誉所長)

 この研究領域は、脳機能の解明のうち、人間たる所以の根元である脳の働きの理解を目標とする研究を対象とする領域です。
 具体的には、「脳の発生分化機構」「神経回路網の構造、機能と形成機構」 「脳の高次機能(記憶、学習、意識、情動、認識と生体リズム等)」「コミュニケーションの脳機能」の解明を目標とします。

研究領域「脳を守る」 研究総括: 杉田 秀夫
(国立精神・神経センター 総長)

 この研究領域は、脳機能の解明のうち、脳の老化、疾病のメカニズムの理解と制御を目標とする研究を対象とする領域です。
 具体的には、「脳の発達障害の制御」「脳の老化の制御」「神経・精神障害の機構の解明」、「神経・精神障害の修復法の開発」を目標とします。

研究領域「脳を創る」 研究総括: 甘利 俊一
(理化学研究所 国際フロンティア研究システム
情報処理グループ ディレクター)

 この研究領域は、脳機能の解明のうち、脳型情報処理システムの構築を目標とする研究を対象とする領域です。
 具体的には、「脳型デバイス・アーキテクチャ(学習、連想記憶等)」「情報生成処理(認知認識、運動計画、思考、言語、評価、記憶等)システム」の構築を目標とします。

(3)戦略目標「環境にやさしい社会の実現」の下の研究領域

研究領域「環境低負荷型の社会システム」 研究総括: 茅 陽一
(慶應義塾大学 教授)

 この研究領域は、ひっ迫した環境問題に対して、地球との共生と持続的な発展を目指したクリーンな社会システムの実現に関する研究を対象とするものです。
 具体的には、資源のリサイクル、有効利用を概念とするLCA評価の高い生産システム、低エネルギー・資源消費、効率的なエネルギー・資源の利用を基盤とする環境低負荷型の社会/生活/都市/住宅実現のための実証的・システム的研究を中心に、環境汚染の計測/評価/制御のための革新的な技術開発なども対象とします。

研究領域「地球変動のメカニズム」 研究総括: 浅井 冨雄
(千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 教授)

 この研究領域は、地球環境に関して、地球規模の諸現象の解明とその予測に必要となる研究を対象とする領域です。
 具体的には、地球規模での気候変動、水循環、地球温暖化、大気組成の変動、生態系の変動および地球内部変動についてのメカニズムに関し、これらを明らかにするためのプロセスの研究およびそのモデルの研究等が対象となります。


This page updated on March 26, 1999

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