クレイドE型エイズワクチン研究の概要


 本共同研究は当事業団において今年度より新たに開始するアジア・太平洋地域型の国際共同研究事業として行うもので、研究実施場所はタイ国保健省医科学局国立衛生研究所などを予定している。研究期間は平成10年3月26日から5年間の予定で、クレイドE型ウィルスを対象としたエイズワクチンの開発を目指して研究を進める。
 世界のHIV感染者数は年々増加し続けており、中でもタイ国のクレイドE型と呼ばれるウイルスは極めて感染力が強くWHOでは今後世界で最も感染者が多くなると予測している。我が国においてもクレイドE型の感染者数は増加しつつあり、新規の感染者の発生を押さえるためには、ワクチンの開発が緊急の課題となっている。現在研究が進められているワクチンは欧米に多いクレイドB型と呼ばれるウィルスに対するものであり、クレイドE型についてはほとんど研究がなされていないのが現状である。
 本研究では、安全性や免疫能の観点から結核ワクチンとしてヒトに応用されているBCGをベースしたリコンビナント(遺伝子組み替え型)ワクチンを用いることによりHIV特異的に細胞性免疫や液性免疫が誘導されることに着目し、クレイドE型ウィルスを対象にしたエイズワクチンの開発の可能性を探る。
 この研究により、クレイドE型ウィルスワクチンの研究が大きく前進する他、他のクレイド型への応用なども期待できることから世界的なHIVワクチン研究開発への大きな貢献が可能であると考えられる。


This page updated on April 20, 1998

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