科学技術振興事業団報 第53号

平成10年3月5日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「白色発光有機ELバックライト」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、山形大学大学院工学研究科 助教授 城戸淳二氏らの研究成果である「白色発光有機ELバックライト」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 ノートブック型パソコンなどに使用される液晶ディスプレイは、装置の薄型・軽量化、省電力化に対応しやすいなどの利点があるため、今後も、多用されることが予想される。液晶ディスプレイは、自らは発光せず外部からの光の透過・遮断を制御し、明暗や色を表示するデバイスであり、通常、液晶の背面にバックライトと呼ばれる発光装置が取り付けられている。従来のバックライトは、冷陰極管などの蛍光管を液晶の側面や直下に配置し、ここで発生させた白色光を液晶の背面全体に均一に分散、照射するものである。しかし、蛍光管を光源とするバックライトは、薄型化や軽量化に限界があるため、今後の液晶ディスプレイのさらなる薄型、軽量化に対応できるバックライトの実用化が望まれている。
 本新技術は、赤、緑、青色に発光する蛍光色素を均一に分散させた白色発光層を挟んで、一方に陰極からの電子注入効率を高める電子注入層を、また、他方に陽極からのホールの注入効率を高めるホール注入層などを積層した構造を持つ白色発光有機エレクトロルミネッセント(EL)素子を用いたバックライトに関するものである。本新技術による有機ELバックライトは、直流の低電圧駆動で高輝度の白色発光を可能とするとともに、有機薄膜を積層することにより薄型にできることから、液晶ディスプレイのバックライトなどへの利用が期待される。
 本新技術の開発は、株式会社アイメス(代表取締役社長 水上時雄、本社 神奈川県藤沢市桐原町3番地、資本金20,095万円、電話0466-45-5550)に委託する予定で、開発期間は5年、委託開発費は5億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

白色発光有機ELバックライト(背景・内容・効果)

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