ナノチューブ状物質プロジェクトの概要


 本共同研究は当事業団の国際共同研究事業として行うもので、研究実施場所はCNRSエミー・コットン研究所など2カ所を予定している。研究期間は平成10年1月から5年間の予定で、炭素を含むナノチューブ状物質の生成機構の解明などについて研究を進める。
 1991年に発見されたナノメートルスケールのカーボンナノチューブは、炭素原子シートの円筒が重ね入れたように配置された構造で、円筒の数は1個から20ないし30個程度と様々で、その長さはサブミリメートルに達するものもある。
 このようなナノ構造をもつカーボンナノチューブには、量子効果や特異な物性の発現、メゾスコピック科学の新しい研究手段の提供等が期待され、その生成方法や物性測定、理論計算による物性予測などが進められている。しかし、生成メカニズムや物性等については、まだほとんど解明されていない。
 本研究では、アーク放電法やレーザ蒸発法等を駆使し、非平衡状態下における物質凝集状態を探ることにより、炭素を含むナノチューブ状物質の生成機構の解明を図る。また、得られたナノチューブ状物質の構造と物性の相関を明らかにする。
 この研究により、制御されたナノチューブ状物質の生成およびその高収率生成を可能とするとともに、炭素系物質に限らないより一般的な非平衡状態下における新たな新物質創製の道が開かれるであろう。さらに、ナノチューブは従来のナノ構造体とは異なる物質概念をもたらし、新たな研究対象や研究手段として定着し、理論と実験の両分野で新しい物質科学の発展が期待される。


This page updated on April 20, 1998

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