科学技術振興事業団報 第41号

平成9年12月18日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「可搬型蛍光X線分析装置」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、大阪電気通信大学工学部教授 谷口一雄氏らの研究成果である「可搬型蛍光X線分析装置」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 蛍光X線分析は、X線を照射して試料中の各元素固有のエネルギーのX線(蛍光X線を検出し試料の元素組成を調べる非破壊分析法で、極めて広範囲の利用分野を有している。考古学的な調査や犯罪捜査などにおいては、現場での分析を柔軟に行うために、使用場所や温度環境の制限が小さく容易に運搬できる小型の分析装置が望まれている。しかし従来の蛍光X線分析装置においては、可搬型(ポータブル)のものは取り扱いに注意が必要な放射性同位体を使用したものであり、またエネルギー分解能の改善の余地があり、さらに卓上型も含め小型のものはppm(=百万分の1)レベル以下の微量分析に対応するには十分ではなかった。
 本新技術は、小型X線管と分光結晶を組み合わせて効率よく単色X線を取り出せるX線発生部を開発し、単色X線を有効に試料に照射することにより、試料からの蛍光X線に混じって検出されてノイズとなる散乱X線の分離を容易にし、検出器には簡易な冷却で高いエネルギー分解能が得られる増幅器一体型の半導体ドリフト検出素子(シリコン・ドリフト・ディテクタ)を用いることにより、可搬型でありながら、従来卓上型装置と同等以上にエネルギー分解能を向上させ、かつ微量元素の検出を可能とした蛍光X線装置に関するものである。
 本装置は、野外等に容易に持ち運び、使用することができ、多元素同時分析や微量分析が可能であることから、犯罪捜査、考古学調査、環境汚染の調査など各種現場での迅速な分析に利用が期待される。
 本新技術の開発は、理学電機工業株式会社(代表取締役社長 志村 晶、本社 大阪府高槻市赤大路町14-8、資本金2億円、電話0726-93-6800)に委託し、開発期間は2年間、委託開発費は約2.1億円を予定している。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

可搬型蛍光X線分析装置(背景・内容・効果)

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This page updated on January 23, 1998

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