科学技術振興事業団報 第39号


  
平成9年12月16日
埼玉県川口市本町 4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「コラーゲン製眼科用手術補助剤」を委託開発課題に選定ならびに開発企業を選定

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、順天堂大学医学部眼科学教室教授金井淳氏らの研究成果である「コラーゲン製眼科用手術補助剤」を委託開発課題として選定するとともに開発企業を選定した。
 我が国では、年間50万件程度行われている白内障の治療のほとんどが、濁った水晶体を除去し、視力矯正用の眼内レンズを挿入する手術である。この手術では、角膜内皮を保護し、眼内レンズの挿入を安全かつ確実に行うために、粘弾性物質の手術補助剤を眼内に注入し、手術後に除去している。現在、用いられている眼科用手術補助剤は、多糖類の一種であり、粘弾性に優れたヒアルロン酸製である。しかし、手術後においては、かえって粘弾性が高いために完全に除去することが難しく、残留の可能性がある。この残留物が、副作用として眼圧上昇を起こす原因といわれており、完全に除去されていない場合、手術後数日間は眼圧上昇による眼痛や頭痛、眼のかすみが生じることがある。
 本新技術は、コラーゲンをアルカリ処理により溶解し、発熱性や抗原性の物質を除去して、体温付近で粘弾性が時間とともに低下する眼科用手術補助剤を製造するものである。本新技術による手術補助剤は、手術時には従来のヒアルロン酸製と同等の粘弾性を保持するが、時間の経過とともに体温により粘弾性が急速に低下するため手術後の除去が容易となる、安価な製造が可能である等の特徴を有し、白内障の手術における眼内レンズ挿入後の眼圧上昇を抑える他、角膜移植時の前眼房の保護等、眼科治療分野への適用が期待される。
 本新技術の開発は、株式会社高研(代表取締役 宮田暉夫、本社 東京都新宿区下落合三丁目5-18、資本金 9,000万円、電話 03-3950-2522)に委託する予定で、開発期間は5年、委託開発費は2.3億円の予定である。今後、科学技術庁長官の認可を受けた後、新技術の開発を実施する。

「コラーゲン製眼科用手術補助剤」(背景・内容・効果)

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