科学技術振興事業団報 第361号
平成15年9月30日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話048(226)5606(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

世界最高レベルの高輝度が得られる小型半導体レーザ光源を実現

 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、大阪大学助教授 實野孝久氏らの研究成果である「LDアレイパワーレーザ」を当事業団の委託開発事業の課題として、平成10年3月から平成15年3月にかけて、浜松ホトニクス株式会社(代表取締役社長 晝馬輝夫、本社 静岡県浜松市砂山町325-6、資本金158億円、電話053-452-2141)に委託して開発を進めていました(開発費約7億円)が、このほど本開発を成功と認定しました。

(開発の背景)
 レーザ光を用いる加工は、クリーンで自由度が高いことから溶接、切断等に広く用いられています。従来の加工用高出力レーザ光源は、大型で、消費電力も大きいため高価で使用環境も限定される点が課題でした。このため、小型で適用部位の自由度が高く、かつ高出力のレーザ光源が待望されていました。

(開発の内容)
 本新技術は、高出力化した半導体レーザ(LD)を集積し、ここのレーザ光をレンズで1本化することで小型かつ効率の良い加工用光源を実現するものです。単体では出力の小さなLDを半導体基板上に多数形成し(LDアレイ)、これらの光を集光することでレーザ光の高出力化をはかりました。さらに、LDを改良することで光の広がりの少ないレーザ光が得られるようになったため、レンズでの集光が容易になり、加工に必要な高いエネルギー密度が得られるようになりました。

(開発の効果)
 本開発により、従来大きな設置場所が必要であった加工用レーザ光源と同程度のエネルギー密度を手のひらサイズの小型光源で実現することが可能となりました。本レーザ光源は、小型であるため取り付けの自由度も高くできます。このため、加工装置の低コスト化や微細加工など新たな用途への展開が期待されます。

・本新技術の背景、内容、効果の詳細
・図1 LDアレイの集光
・図2 ステンレス材に対する加工例
・図3 試作機外観
・開発を終了した課題の評価

なお、本件についての問い合わせは以下の通りです。
科学技術振興事業団 開発部開発推進課 菊地博道、二階堂知己
[電話(03)5214-8995]
浜松ホトニクス株式会社
【報道関係者問合せ先】社長室 海野賢二 [電話(053)452-2141]
【お客様問合せ先】中央研究所 材料研究室 渡辺明佳 [電話(053)586-7111]


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