科学技術振興事業団報 第357号
平成15年9月22日
埼玉県川口市本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)
URL:http://www.jst.go.jp/

微小領域の多様な分析が可能である透過型電子顕微鏡を実現


 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、東北大学名誉教授 田中通義氏らの研究成果である「高エネルギー分解能分析電子顕微鏡」開発を当事業団の委託開発事業の課題として、平成11年3月から平成15年3月にかけて、日本電子株式会社(代表取締役社長 原田嘉晏、本社 東京都昭島市武蔵野3−1−2、資本金44億2,650万円、電話)に委託して開発(開発費約3億6千万円)を進めていましたが、このほど本開発を成功と認定しました。

(開発の背景)

 近年、ナノレベルでの新規な物質の創製や集積回路の超高密度化に伴って、結晶の境界領域や不純物等による構造の不均一など局所的な物性の影響が重要視されています。これには、極めて微小領域の構造、組成、結合様式等の解析が必要ですが、現状では多面的に分析可能なツールはないため、微小領域の構造、組成、電子状態などの情報を総合的に得ることができる新たな分析電子顕微鏡が求められていました。

(開発の内容)

 本新技術は、電子が物質を透過する際に受けるエネルギー変化から物質の組成や電子状態等を解析する電子エネルギー損失分光法(EELS)を利用した分析電子顕微鏡に関するものです。従来は、照射する電子自体のエネルギー幅が大きく、かつ、微小部分に集めることが困難であったのに対し、照射する電子のエネルギーを1つに絞り込む新たなフィルタを開発し、極めて近接した複数のエネルギー変化も高い分解能で分離することが可能となりました。

(開発の効果)

 電子のエネルギー変化は、物質の組成や結合に関与する原子周囲の電子状態を反映しているため、本技術による電子顕微鏡により、微小領域の幅広い情報を得ることが可能となります。このため超高密度集積回路の性能向上や、微細構造解析によるナノレベル物質の特性解析など幅広い分野での応用が期待されます。

本新技術の背景、内容、効果の詳細
図1 装置外観
図2 フィルタ出口での電子線形状
図3 電子線のエネルギー幅測定結果
開発を終了した課題の評価


なお、本件についての問い合わせは以下の通りです。
 科学技術振興事業団 開発部開発推進課 菊地博道、二階堂知己
  [電話(03)5214-8995]
 日本電子株式会社 文書広報グループ グループ長 関口基三
  [電話(042) 542-2113]

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