(資料4)

新規採択研究代表者・個人研究者および研究課題概要


○チーム型研究(CRESTタイプ)
戦略目標 「がんやウィルス感染症に対して有効な革新的医薬品開発の実現のための糖鎖機能の解明と利用技術の確立」
研究領域 「糖鎖の生物機能の解明と利用技術」

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
伊藤 孝司 徳島大学 薬学部 教授 糖鎖機能を利用した組換えリソソーム酵素の脳内補充療法の開発 従来、難治性疾患とされてきたリソソーム酵素欠損症(リソソーム病)に対し、近年組換え酵素補充療法の実用化が進められています。本研究では、バイオインフォーマティクスに基く、中枢神経障害を伴うリソソーム病の根本治療法の確立を目指します。また酵母変異株を用いて大量発現したヒト型糖鎖含有組換え酵素の中枢神経系細胞への導入法と、脳標的化技術を利用した低侵襲的な脳内酵素補充療法の開発を行います。
井ノ口 仁一 北海道大学 大学院薬学研究科 助教授 マイクロドメイン機能異常にもとづく2型糖尿病の病態解明 2型糖尿病などの生活慣習病の病態は、スフィンゴ糖脂質の異常発現によって細胞膜(マイクロドメイン)の構成・構造および機能が変化し、シグナル伝達が異常になったマイクロドメイン病である」という作業仮説を検証し、新たな分子病態像を解明します。また糖脂質関連遺伝子を検出するDNAアレイによる疾患別データベースの構築および診断法を開発します。さらには、これらの情報を統合したマイクロドメイン矯正療法ともいえる新規治療法の開発を推進します。
中田 博 京都産業大学 工学部 生物工学科 教授 担癌状態におけるムチンを介した免疫能の変化の解析と応用 上皮性癌の産出するムチン(糖タンパク質)が癌組織や血液中において様々な免疫細胞に作用し、免疫能力の低下のみならず結果的に腫瘍増殖に関与していることが示唆されました。本研究では免疫細胞である単球やマクロファージに存在するスカベンジャー受容体(SCR)をノックアウトしたマウスを用いて、ムチンやSCRと腫瘍組織形成との関連を検討すると共に、受容体と糖鎖の結合部位を解析し、その結合をブロックする方法を開発します。最終的に抗腫瘍薬あるいは免疫制御薬として創薬に結びつけることを目標とします。
野村 一也 九州大学 大学院 理学研究院生物科学部門 助教授 遺伝子破壊による糖鎖機能の戦略的解明 線虫はヒトの糖鎖関連遺伝子の解析に極めて適したモデル生物です。ヒトの糖鎖形成に関与している様々な遺伝子と同様な遺伝子を線虫で選び出し、その遺伝子機能をRNA干渉(RNAi)法と突然変異体の分離によって網羅的に解析し、その機能と遺伝子ネットワークを完全に解明することを目標とします。さらにヒト遺伝子を導入した線虫や、ヒト細胞や移植癌での遺伝子機能を種々の方法で解析し、ヒトの疾患解析や創薬ターゲット探索に結びつけます。
宮城 妙子 宮城県立がんセンター 研究所 生化学部長 がんや糖尿病等におけるシアリダーゼ異常の機構解明と制御 従来からシアル酸と癌の深い関連性が指摘されてきましたが、形質膜局在型シアリダーゼ(NEU3)が各種ヒト癌で異常に亢進していること、この遺伝子導入マウスに糖尿病が発症することを明らかにしてきました。 本研究では、NEU3 遺伝子やモノクローン抗体を使って、癌や糖尿病等におけるシアリダーゼ異常発現の機構・意義について解析を進め、異常発現の制御法を探索し、本遺伝子をターゲットとした新しい診断・治療法の開発を目指します。
山口 陽子 東海大学 工学部 生命化学科 (糖鎖工学研究施設) 教授 糖鎖構造特異的単鎖抗体ライブラリーの構築 糖鎖構造の高効率かつ高精度な解析に求められるのは、天然に存在する各種糖鎖の抗原決定基を特異的に検出できるシステムの構築です。本研究は、従来のレクチンを利用する糖鎖構造の解析とは全く異なり、ファージディスプレイ法を活用して、各種糖鎖に特異的かつ高親和性で結合する単鎖抗体を数多く単離し、糖鎖構造特異的単鎖抗体ライブラリーの構築を目指します。得られた単鎖抗体は抗原性や毒性もないので、診断法や治療法への応用も期待されます。

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This page updated on September 18, 2003

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