(資料4)

新規採択研究代表者・個人研究者および研究課題概要


○個人型研究(さきがけタイプ)
戦略目標 「情報通信技術に革新をもたらす量子情報処理の実現に向けた技術基盤の構築」
     「新しい原理による高速大容量情報処理技術の構築」

研究領域 「量子と情報」

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
石坂 智 日本電気(株) 基礎研究所 主任研究員 量子縺れ最適回復プロトコル導出を可能にする量子状態の判定・測定法 量子情報処理技術はデバイス技術などのハードウェア技術と、アルゴリズムやプロトコルなどのソフトウェア技術が両輪となってはじめて実用となります。本研究では、量子縺れ最適回復プロトコルの導出を将来目標に捉え、その為の基盤技術の拡充を行います。具体的には、量子状態の幾何学的構造の解析を通して、量子縺れ回復効率の情報理論的限界値と縺れ回復可能性の最適判定方法の導出を行い、更に状態空間の幾何学的構造と量子情報処理の間の関係を解明します。
北野 晴久 東京大学 大学院総合文化研究科 助手 固有ジョセフソン接合と超伝導共振器を用いた量子状態制御の研究 近年、量子計算機に関する研究が盛んですが、数十ミリケルビンという極低温の実験は実用化に向けて障害となります。本研究では、高温超伝導体の固有ジョセフソン接合を用いた「量子ビット」の実現により、温度への制限の緩和を目指すと共に、非常に高いQ値を持つ超伝導共振器内のフォトンと、固有ジョセフソン接合系の量子ビットを相互作用させて、量子計算に必要な「量子もつれ合い」状態の実現を目指します。高温超伝導体が量子計算機へ応用可能なことが示されれば、実用化がさらに加速されるものと期待できます。
黒田 隆 (独)物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究所 主任研究員 単一量子ドットにおける多光子量子操作 高次の非線形操作を行う量子計算では、複数ステップの量子演算直後の過渡的な量子状態を検知する必要があります。また、量子状態の読み出しは、個々の量子ビット担体に対して行わねばなりません。そこで本研究では、単一の量子ドットにおけるコヒーレントな光応答の計測手法を開発します。従来、集団平均操作に埋もれていた微視的な量子効果の探索を可能とし、量子ドットを舞台とした多量子ビット演算の実現を目指します。
清水 明 東京大学 大学院総合文化研究科 助教授 多体量子系としての量子計算機の分析 量子計算機は、キュービット数が大きいときだけ意味があるので、多体量子系です。本研究では、「マクロな量子もつれ」を多体量子論から見て自然な形に定義し、それを用いて量子計算の各ステップに現れる量子状態を特徴付け、ノイズに対する安定性を調べます。さらに、各状態がデコヒアーした時の計算結果へのダメージを調べ、どの状態が量子計算に本質的であるかを特定します。本研究により、多体量子系としての量子計算機の物理が解明されると考えます。
村尾 美緒 東京大学 大学院理学系研究科 助教授 量子鍵を用いた次世代量子暗号プロトコル 従来の量子暗号のプロトコルは、量子状態を用いて古典的な暗号鍵を配布することにより、古典情報の安全な通信を可能とするものでした。一方、量子情報科学技術が進めば、「量子情報のための暗号」が必要となります。そこで本研究では、エンタングルメントを量子情報のための暗号鍵として用いる「量子鍵」の概念を提唱し、様々なタイプの量子鍵プロトコルを探索します。更に、量子鍵のアイディアを量子認証・量子多者間プロトコル・量子署名等の量子暗号プロトコルへと応用することを目指します。

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This page updated on September 18, 2003

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