科学技術振興事業団報 第347号
平成15年8月8日
埼玉県川口市本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話048(226)5606(総務部広報室)
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超臨界二酸化炭素による環境に優しい洗浄装置を実現

 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、東北大学 大学院工学研究科 教授新井邦夫氏らの研究成果である「超臨界二酸化炭素を洗浄溶媒とした洗浄装置」を当事業団の委託開発事業の課題として、平成12年3月から平成15年3月にかけて株式会社エスアール開発(代表取締役社長 管野昌之 本社 岩手県花巻市二枚橋5地割6−38、資本金20,000千円、電話:0198-26-1801)に委託して開発を進めていた(開発費221百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。

(開発の背景)
 高い洗浄力を持つトリクロロエタンやクロロフルオロカーボン(CFC)は、半導体やハイテク産業における製造工程で必須の洗浄操作に多用されてきたが、これらの使用が全廃された現在、その代替洗浄法の開発が急務となっている。代替として水系洗浄、アルコール系洗浄および炭化水素系洗浄への移行が行われているが、一長一短があり決め手となるものはなく、新しい代替洗浄技術の開発が望まれていた。

(開発の内容)
 本新技術は、※超臨界状態の二酸化炭素を用いて洗浄を行う装置に関するものである。(図1)洗浄槽を中心に、超臨界二酸化炭素循環機構と液体二酸化炭素循環機構からなり、それぞれ加熱機構と冷却機構を備えている。また、循環機構中に、汚れた溶媒を分離するドレインタンクと気化された二酸化炭素中の※パーティクルを除去するフィルターを備えている。(図2
 本装置では、これまで使用されていた高圧ポンプを使用せず、二酸化炭素の熱力学特性(温度、圧力)を利用して循環させることができる。また、減圧により容易に油分等の溶解物を分離でき、二酸化炭素のリサイクルが可能である。
 本超臨界二酸化炭素洗浄では、溶解力が高く、液体より粘度が小さく微細部分への浸透性が高いため、細かな電子部品等に付着している油分を除去することができた。また、シリコンウエハ面上のパーティクル等は、液体二酸化炭素洗浄溶媒を高い圧力で洗浄材に噴射することで、洗浄・除去することができた。


(開発の効果)
 本新技術により、微細部の洗浄ができ、環境に優しい洗浄装置が開発できた。このため、機械部品、電子部品、半導体材料、医療用材料など広い分野での利用が期待できる。


【用語解説】
※1 超臨界二酸化炭素: 超臨界二酸化炭素とは、通常気体である二酸化炭素の温度・圧力を上げて臨界点(臨界温度・圧力)を越えた領域の状態を指し、気体と液体の中間的な性質、すなわち気体の様な拡散性と液体の様な溶解力を持っている。
※2 パーティクル: 微粒子

・本新技術の背景、内容、効果の詳細
・図-1 洗浄装置外観
・図-2 開発装置の構成フロー
・図-3 洗浄槽
・開発を終了した課題の評価

なお、本件についての問い合わせは以下の通りです。
科学技術振興事業団  開発部 開発推進課
    菊地博道、井口 穣(電話:03-5214-8995)
SR開発株式会社  代表取締役社長
    管野昌之(電話: 0198-26-1801)


This page updated on August 8, 2003

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