注1 ポリマーの複屈折発現機構について

 下図にポリマーの複屈折発現機構の模式図を示す。ポリマーは、その分子1つ1つがナノサイズのひも状になっている。全くの不規則な状態(アモルファス状態)では、ポリマー分子は折れ曲がり、コイル状になっており、方向性が無いため、光にとっても全く均一な媒体となる。ところが溶融押し出し法といった成形を行うと、ポリマー分子が配向する。配向状態では、配向方向(図3の水平方向)に偏光した直線偏光に対する屈折率n//と、配向方向に直交する方向に(図3の垂直方向)に偏光した直線偏光に対する屈折率nとが異なる。この様に偏光面よって屈折率が異なる現象を複屈折といい、大きさはΔn = n// - nで表わされる。またΔnが正になる場合を正の複屈折、負になる場合を負の複屈折と呼ぶ。ポリマーの種類により、正負は決まる。

図3 ポリマーの複屈折発現機構

 光は横波であるので、図4のように図示できる。図4は左から右へ光が進む様子を描いたものであり、進行方向に直交する面内で、電界が振動している。これが(直線)偏光である。複屈折が無いポリマー中をこの偏光が通過しても、特にこの電界の振動面(偏光面)に変化は生じない。しかし、複屈折の存在するポリマー中を偏光が通過すると、正負どちらの複屈折であっても、偏光面が乱されてしまう(つまり偏光の状態が乱されてしまう)。偏光板は窓のブラインドのような構造であり、その隙間の方向と偏光面が一致している光のみを通し、それ以外の偏光面を持つ光は通さない。



図4 (直線)偏光と偏光板

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