酸化物系高温超電導コイルによる超電導磁石(7テスラ)の開発


(背景)
高温で、安定した強磁場を得る技術

 科学技術振興事業団が埼玉県にて平成7年度より支援している、産学官共同研究「各種反応・プロセスにおける磁気効果に関する研究」では、強磁場環境で新たに発現する各種反応・プロセスにおける磁気効果を明らかにし、磁気現象の利用技術の確立と応用を目指している。このため、従来の磁石の性能を凌駕する、高温で安定した強磁場が得られる超電導磁石の開発が不可欠であった。

(内容)
冷凍機(20K) にて動作する酸化物超電導体磁石による強磁場(7テスラ)発生技術

 本技術は、住友電気工業鰍ノ委託し試作をすすめてきたものである。使用した高温超電導線材は、銀パイプにBi系酸化物超電導材料粉末を充填、多芯化し幅 3.6o、厚さ0.23oのテ−プ状に加工したものを24個のダブルパンケ−キ型にし、マグネットを構成した。
 なお、Tcは106K(-167 ℃) である。
 本共同研究においては既に、4テスラを発生できる超電導磁石を開発しており(平成8年12月)、更にマグネットの大型化、冷却構造の改善により今回の結果を得たものである。

(効果)
外部ヘリウム供給なしに、高速励磁で、クエンチしにくい強磁場を発生する酸化物系超電導磁石

本マグネットの特徴は、次の通りである。

@外部ヘリウム供給なしに、冷凍機による冷却にて(20K)、超電導状態を得られる。
A高速励磁(7テスラまで3.5分)でもクエンチせず安定性が高い。
B7テスラを安定的に発生できる。

従って、本マグネットの利用により磁気科学技術の新たな展開が可能になる。特に、従来のコイルで実現できなかった、高速で変化する強磁場中での電気化学反応の解析で威力を発揮すると考えられる。
 また、本マグネットの取扱いの容易さにより、従来実験環境として考慮されてこなかった磁場を制御因子とする各方面での研究が進むことが期待される。

 なお、この発表に関する問い合わせは下記までお願いします。

科学技術振興事業団 埼玉研究室 事務参事 坂本
(電話048-265-8200)
科学技術振興事業団 研究交流・支援促進室 千田
(電話048-226-5632)


This page updated on March 26, 1999

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