(別紙2)
課題名統合失調症の検査キット
発明者 新潟大学 脳研究所 教授 那波宏之
新潟大学医歯学総合研究科 教授 染矢俊幸
委託企業 株式会社 エスアールエル 代表取締役社長 近藤俊之
本社 東京都 立川市 曙町二丁目 41番19号
資本金 112億7千万円
開発期間5年間
開発費用5.5億円

 本新技術は、患者の血液サンプルを用いて、統合失調症に関連する遺伝子のmRNAや蛋白の発現量を測定し、診断の支援を行うための検査キットである。
 この検査キットにより、少量の血液サンプルで疾患の診断と病態把握が可能となり、患者に苦痛を強いることなく、高い信頼性をもって統合失調症の診断を支援することができるものと期待される。
 本新技術の背景、内容、効果の詳細は次の通りである。

(背景)
統合失調症の客観的な検査法が要請されている。

 統合失調症は、人口の約0.9%が発症する精神疾患であり、往々にして慢性の経過をとり、正常な社会生活に適応できなくなる例が少なくない。従って、統合失調症による社会的損失は非常に大きなものである。現在、統合失調症の診断は、心理症候学的な診断基準によって行われ、複数の病型に分類されているが、最終的には担当医の経験に基づく診断に依存せざるを得ない。本疾患の発症を早期に診断し、適切な治療がなされれば、重症化の回避や治癒率の向上が期待される。よって、早期診断を可能とする分子生物的な検査法の開発が求められている。

(内容)
患者の少量の血液サンプルからmRNAや、蛋白の多因子を測定解析。

 患者の血液サンプルを用い、統合失調症に関連する複数の遺伝子のmRNAや蛋白の発現量を測定するためのDNAチップやプロテインチップのキットである。具体的には、患者の末梢血サンプルから血球と血清を分離、単核球からDNAチップによりmRNAを測定、プロテインチップにより蛋白の測定を実施し、また血清から上皮成長因子や神経栄養因子なども測定し、これらの発現量が一定の基準値の範囲外であるかどうかを統計学的に解析し、そのデータを診断のために提供するものである。

(効果)
検査キットの活用により診断がより客観的になる。

 本新技術には次のような特徴がある。
(1) 客観的データが得られるので,従来からの心理症候学的診断を支援できる
(2)遺伝子のみでなく蛋白質も定量することによって、患者の罹患の判定だけでなく、初診患者や慢性患者の特有の病態の把握ができる。
(3)少量の血液サンプルのチップの測定とデータ解析の構成であるため、低コストで簡便に検査出来る。

 従って、次のような用途が期待される。
(1)病態の把握、治療方針の策定のためのデータ提供
(2)投薬された治療薬の効果判定
(3)治療用新薬開発の際のスクリーニングと効果判定
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This page updated on July 28, 2003

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