本新技術の背景、内容、効果の詳細は次の通りです。
(1)当該分野の概要 日本国内において糖尿病患者は約700万人、予備軍を含めると1,400万人程度いると考えられており、生活習慣と社会環境の変化によって年々増加しています。患者数のうち、半数程度が治療を受けていると考えられています。 携帯用血糖測定器は、糖尿病患者が血糖を自己管理するための指標とする血糖値を患者自身が簡便に測定するための医療機器であり、医療機関においても、簡易血糖測定器として用いられています。従来の携帯用血糖測定器の中で最も普及している測定方式は、血糖(血液中のグルコース)に対するグルコース酸化酵素(GOD)の反応を電気化学的に定量し血糖値に換算するグルコースセンサー法です。 (2)従来技術および望まれていた技術 従来のグルコースセンサー法では、患者が糖尿病性の昏睡に陥る危険性の高い40mg/dl以下の低血糖領域及び600mg/dl以上の高血糖領域では、正確な血糖測定を行うことが困難な傾向にあります。このため、医療機関での使用や、患者が日常測定している血糖値を医療機関で役立てるといった観点から、より広範囲の濃度を精度良く測定できる携帯用血糖測定器が求められています。
(1)新技術のポイント 従来のグルコースセンサー法による携帯用血糖測定器よりも、広範囲の濃度を測定可能にする携帯用血糖測定器です。 (2)新技術の原理 センサーにはグルコース酸化酵素(GOD)と電子伝達体が塗布されており、センサーに患者血液を載せると血中グルコースが酵素と反応して電流が生じるので、その電流値から血糖値を求めます。 本開発では、センサーの電極電位を走査して得られる電流値を積分するサイクリックボルタンメトリー法を用い、かつ、センサーの酵素層の微粒子化を実現したことで酵素の溶解性が向上し、20~900mg/dlという広い測定範囲を短時間で測定することが可能となりました。 (3)新技術の製造工程(センサーの製造)
(4)新技術の特徴
本測定器は高齢者が取り扱いやすいことを重視して設計をしています。表示画面も大きく分かり易く、感染症を予防するためのセンサー取り外し機能も装備しています。また、患者ごとに得られたデータを記憶することができ、パソコンへデータ転送することにより、効率的な管理とケアが実現可能となります。 従って、患者自身が自己管理を行うための携帯用簡易測定機器としての利用が期待されるのみならず、医療機関で使用されている分析装置に近い測定範囲を有する小型装置であるので、病院での患者のベッドサイドモニターとしても利用が期待されます。 |