ホームJSTについて情報の公開・個人情報保護機構の評価に関する情報(参考) 科学技術振興事業団(平成14年度まで)の評価結果科学技術振興事業団機関評価報告書3.個別事業の評価・提言への対応状況

3.個別事業の評価・提言への対応状況


 本委員会はこれまで個別事業の評価において、事業の改善方策の具体的提言等を行ってきた。事業団の機関評価が毎年個別事業の評価を行うという方法を採ってきたため、これらの提言等について、事業団がその後の事業運営において既に対応してきているものも多い。
 このため、本委員会として、評価・提言に対する対応状況について事業団から説明を受け審議を行った。その結果、これまでの提言について事業団において真摯な対応がなされており、本委員会の評価結果は有効に活かされてきていると言える。今後も引き続き適切な対応がなされることを期待する。
 各事業の主な対応状況は以下のとおりである(詳細は資料2参照)。

(1)技術移転推進事業
 委託開発事業については、リスクに挑戦することを基本姿勢とすべきことについて提言を行った。これに対し、平成13年度から、設立間もないベンチャー企業を対象とした新規企業枠を創設してハイリスク・ハイリターン課題に対応してきており、引き続き努力するとしている。
 開発を受託する企業にとって、この制度の魅力を高めるよう開発の実施条件等について工夫が必要である旨の提言を行った。これに対しては、返済期間を5年から8年に延長するなどの返済条件の緩和を行っているほか、優先実施期間を3年から5年に延長し、実施料率については、売り上げ高の4%を基準としていたものを生活・社会技術開発については原則2%とするなどの対応がなされている。
 研究成果最適移転事業については、技術移転における「仲介者ネットワーク」の確保についての提言を行った。これに対しては、平成11年度から研究成果実用性評価委員により技術の評価を行い、研究成果実用化促進委員により技術移転の促進を図っている。平成14年度からは、技術移転プランナーによる研究成果の企業化のサポートを実施している。
 また、技術移転推進事業に関する各事業相互の識別がしやすいように事業の名称を検討すべきとの提言については、平成14年度から、研究成果最適移転事業と委託開発事業の2つの事業に整理統合し、成果育成のための各プログラムについて識別しやすいよう略称を付記するといった対応がなされている。

(2)科学技術情報流通促進事業
 文献情報提供事業に関して、まず、抄録データについて、費用対効果の観点からの検討の必要性について提言したが、これに対しては、短い文献や利用頻度の低い外国文献については抄録データを作成しない簡易処理方法が導入されている。また、情報収集から提供までの時間を短縮するための情報加工方法改善の提言に対しては、データベース作成の各工程の処理日数の短縮化の努力を行い、相当の改善が行われている。
 効果的な販売システム構築、マーケティング活動の実施、利用しやすい価格設定等に関する提言については、代理店制度の確立、アンケート、懇談会等を通じたユーザーニーズの把握、大学、医療機関等への固定料金制の導入、クレジットカードによる決済方法の導入等により改善が行われている。
 文献情報以外の各種データベース事業等については、新産業創出総合データベース構築事業について、他省庁や大学関係のデータベースを含め一つに統合すべきとの提言を行ったが、これに対しては、平成14年度以降、国内の大学、国立試験研究機関等の研究情報の整備・提供を事業団が一元的に実施することになった。

(3)基礎的研究推進事業
 研究費の配分の柔軟性を確保すべきであるとの提言については、平成14年度から各基礎的研究推進事業を戦略的創造研究推進事業として統合的に運用し、研究費の配分の柔軟性を向上させている。
 研究プロジェクトの終了後、研究成果から最大の効果をあげるためのフォローアップシステムを整備することを提言した。これに対しては、平成12年度から実施されている発展研究推進事業制度を平成14年度から「継続研究」として位置づけ、継続して研究が実施できる仕組みが整備されている。
 長期にわたる評価の実施など評価の重要性に関する提言については、研究期間終了後5年から10年を目安に追跡調査を行うこと、評価者に海外の研究者等の参画を求めること、各基礎研究事業の特性を反映させた評価視点を導入することなどの改善に努力している。
 更に購入した装置等の有効利用、プロジェクト経費の内訳の公表などについても提言に沿った対応がなされている。

(4)研究交流促進・研究支援事業
 研究交流促進・研究支援事業の評価は、平成14年10月に報告が取りまとめられたばかりであるが、提言に沿った対応が行われつつある。
 すなわち、外国人研究者宿舎について大学関係の外国人研究者も対象に含めるべきであるとの提言については、提言の方向で検討が進められている。また、異分野研究者交流促進事業等について、人文・社会科学も含めた交流を行うべきであるとの提言については、平成14年度に「科学技術と芸術」をテーマにしたフォーラムが開催されるなど提言に沿った努力がなされている。更に地域の科学技術振興に関連して、コーディネータの人材育成が重要であるとの提言を行ったが、これに関しては、平成14年度から技術移転の人材育成研修事業が開始された。

(5)科学技術理解増進事業
 本事業の評価についても平成14年10月に報告が取りまとめられたが、平成15年度予算等において、提言に沿った新しい事業が開始されることとなった。
 まず、学校教育等との連携が重要であり更に連携強化を図るべきとの提言を行ったが、これに関しては、平成15年度から「スーパーサイエンスハイスクール」に対する支援等を事業団が実施することとなった。また、デジタル理科教材の開発に関して、モデル的に教育委員会と連携し、コンテンツ活用の実証実験を開始している。
 また、ボランティア活動との連携等全国的な活動のネットワークの形成が重要であるとの提言に関しては、平成15年度より、地域における科学技術理解増進を目的としたボランティア活動の支援や養成を行う事業が開始されることとなった。
 日本科学未来館に関しては、最先端の科学技術に関する情報発信を行っているので、展示の更新が必要である旨提言したが、平成15年度には先駆的科学技術展示開発のための予算が計上された。

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