用語の解説


1. ホスト・ゲスト化学
 UCLAのD.J.Cram教授(1987年ノーベル化学賞受賞者)により提唱された概念。原子(または分子)認識における精度は、識別されるべき対象(ゲスト)と識別する母体分子(ホスト)の間のホスト・ゲスト相互作用によって決定される。すなわち、ゲスト識別を高選択的に実行するためには、ゲスト原子に対してはそのサイズに適合する空孔(Cavity)を持つホスト分子が有効であり、一方、ゲスト分子に対してはその分子の形と相補的な凸凹関係にあるホスト原子が有効とする考え方。従来型の分子認識化学はこの概念を基盤として今日まで発展してきた。
2. デンドリマー、フラーレン
 ゲストを鋳型として取り込み事前組織化したホストとなるべき分子断片を国定化するためのマトリックスの候補。デンドリマーは中心核から放射状に広がった樹木(dendro)類似の構造をした巨大球状分子。表面は多数の反応性官能基に覆われているため、マトリックスとしての潜在能力を秘めているものと推測している。伸長反応をくり返すことにより、樹木が成長するように異なる”年輪”を持つ巨大球状分子を合成することかできる。フラーレンは炭素のみからなる球状分子で、その代表はC60とC70である。ともに反応性に富む不飽和結合を多数有しているのでマトリックスとしての利用価値が高いものと考えている。


This page updated on March 31, 1999

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