[補足説明]

※1 ヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)
 1983年にオーストラリアのWarrenとMarshallによって分離培養された胃粘膜に寄生するグラム陰性微好気性らせん菌。Marshallは、この細菌に感染すると胃炎が起こることを、自らが被験者となって証明した。全世界の半数以上の人が感染しており、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、MALTリンパ腫(ピロリ菌胃炎に際して胃粘膜内にMALTと呼ばれる後天性のリンパ組織が形成され、胃悪性リンパ腫がこのリンパ組織から起こる)に関わることが知られている。

※2 受容体(receptor)
 特異的相互作用の結果、ある物質が結合する分子レベルでの標的部位。その部位は細胞壁、細胞膜、あるいは細胞内酵素上にあり、結合する物質はウィルス、抗原、ホルモン、薬品などである。その相互作用による結合は生理的あるいは薬理的応答を誘起する。

※3 空胞化(vacuolation)
 哺乳動物の細胞における空胞 (vacuole)とは、様々な要因、機序により細胞内の小胞が著しく巨大化した異常な構造を指す。VacA毒素の場合、細胞表面上の受容体との結合を介して細胞内に取り込まれ、後期エンドソーム、リソソーム(どちらも細胞内の小胞)の空胞化を誘導することが知られている。これは、VacA毒素が6量体として、これら小胞を形成する膜中でマイナスイオンを小胞に取り込む部位を形成する結果、浸透圧が増大し、小胞内に水分子が流入して膨潤するものと考えられている。

※4 リガンド (lignd)
 ホルモンや神経伝達物質のように、タンパク質の特定部位に結合する分子。

back



This page updated on February 24, 2003

Copyright©2003 Japan Science and Technology Corporation.