「戦略的基礎研究推進事業」平成9年度採択研究課題の概要


1.研究領域「生命活動のプログラム」

研究代表者
伊藤 維昭
所属・役職
京都大学ウィルス研究所 教授
研究課題名
タンパク質の膜を越えたダイナミズムを支える細胞機能の解明
概   要
 細胞の構築において、タンパク質が、遺伝情報翻訳の場である細胞質以外の場所に膜を越えて配置され、あるいは膜に組み込まれることは必須のプロセスである。タンパク質の膜透過を司る装置に膜内在性透過チャネル因子(大腸菌ではSecYEG)と駆動因子(同じくSecA)があるが、最近このような因子自体が膜を越えたダイナミックな動きを伴って機能することがわかった。研究では、このような細胞のなりたちの基幹となるシステムの作用機構およびその制御機構を解明する。
研究代表者
稲垣 冬彦
所属・役職
(財)東京都臨床医学総合研究所生理活性物質研究部門 部長
研究課題名
構造生物学に基づくシグナル伝達系の解明とその制御
概   要
 シグナル伝達蛋白質は多くの機能ドメインより構成され、これらの機能ドメインの相互作用を介してシグナルは伝達される。研究では、機能ドメインの立体構造、および標的蛋白質(機能ドメイン)との複合体の立体構造を解明するとともに、できるだけインタクトに近い構造フレームに基づいて分子内、分子間でのシグナル伝達の制御機構を明らかにする。これらの知見に基づき、機能ドメインの削除、交換、挿入を行い、人為的にシグナル伝達を制御する方法を開発する。
研究代表者
岡崎 恒子
所属・役職
藤田保健衛生大学総合医科学研究所 教授
研究課題名
哺乳類人工染色体の開発と個体の形質転換への利用
概   要
 ヒト培養細胞に導入すると染色体外で安定に維持継承される人工染色体形成能を示す酵母人工染色体(YAC)を構築できることを見い出した。研究では、このヒト人工染色体前駆体YACを用い、染色体の動態とセントロメアの機能構造を解明する。また、哺乳類培養細胞、組織或いは胚操作に使用しうる安全、安定かつ挿入容量の高い人工染色体ベクターを構築し、物質生産、遺伝子治療、染色体工学など多方面での利用をめざした研究を行う。
研究代表者
加藤 茂明
所属・役職
東京大学分子細胞生物学研究所 助教授
研究課題名
遺伝情報制御分子としてのステロイドレセプター
概   要
 核内ステロイドレセプター群はリガンド誘導性転写制御因子として、ステロイドホルモンのシグナルを遺伝情報に伝える変換器の役割を果たしている。この研究では核内ステロイドレセプターの生体内機能や、相互作用する核内因子を調べることで、ステロイドホルモンの作用や関連病態を分子レベルで明らかにする。同時に本研究の成果は、疾病治癒、創薬の分子基盤を築くものである。
研究代表者
田村 隆明
所属・役職
千葉大学理学部 教授
研究課題名
転写因子超複合体の存在様式と機能
概   要
 真核生物の核内で起こる転写/スプライシング/修復などの様々な反応は、個々が独立に進行するのではなく、因子の共有や因子間相互作用の結果生ずる複合体を通して協調性が保たれると考えられるが、その実態は未だ明らかにされていない。本研究では遺伝情報の発現と維持の包括的理解に向け、転写制御機構研究を軸に、これら「超複合体」の存在様式とその機能を明らかにする。
研究代表者
二井 將光
所属・役職
大阪大学産業科学研究所 教授
研究課題名
酸性異環境の形成と多彩な機能に関する研究
概   要
 動物の細胞には多彩な酸性オルガネラ(中央液胞系および非液胞系)が存在している。内部の酸性度はオルガネラに固有であり、オルガネラ機能に本質的に重要である。本研究において、細胞がさまざまな酸性異環境を作り出す機構を、プロトンポンプや小胞型イオンチャンネルの遺伝子発現、アセンブリーやオルガネラの融合等を通じて解明する。また、酸性オルガネラが関与する多彩な機能を解析する。
研究代表者
吉川 信也
所属・役職
姫路工業大学理学部 教授
研究課題名
水素イオン能動輸送機構の構造生物学的研究
概   要
 真核生物のATPは、主にミトコンドリアの3種の電子伝達複合体によって能動輸送されて生じた水素イオン濃度勾配の浸透エネルギーを利用して、ATP合成酵素によって作られる。研究では、この酸化還元反応や加水分解反応に共役した、水素イオン能動輸送を行うための立体構造変化をX線結晶構造解析法と赤外分光法によって詳細に解析し、ミトコンドリアのエネルギー変換の本質的理解をめざす。

2.研究領域「生体防御のメカニズム」

研究代表者
石井 俊輔
所属・役職
理化学研究所ライフサイエンス筑波研究センター 主任研究員
研究課題名
仲介因子を介した遺伝子発現制御の研究
概   要
 CBPなどのコアクティベーター、N-CoRなどのコリプレッサーは転写制御因子と基本転写因子の間の仲介因子として最近見い出され、仲介因子の研究は遺伝子発現制御研究に新たな分野を開きつつある。本研究では、Myb,NF-kB,ステロイド受容体など造血・免疫系において重要な役割を果たす転写因子の仲介因子について種々の角度から解析し、生体防御系における仲介因子の役割の解明をめざす。
研究代表者
大橋 祐子
所属・役職
農業生物資源研究所分子遺伝部 上席研究官
研究課題名
遺伝子の不活化・活性化を通した植物の生体制御
概   要
 導入遺伝子の不活化が、遺伝子組換え植物の中で頻繁に起こることが問題になっている。また、一度不活化された遺伝子が活性化されることもあるようである。本研究では遺伝子の不活化・活性化を植物の自己防御の一つの形としてとらえ、その実態と機構をDNAのメチル化に注目して調べることにより、導入遺伝子や内在性の遺伝子の発現を人為的に制御する方法を開発することをめざす。
研究代表者
岡田 泰伸
所属・役職
岡崎国立共同研究機構生理学研究所 教授
研究課題名
細胞容積調節の分子メカニズムとその破綻防御
概   要
 本研究では、(1)浸透圧性膨張後の細胞容積調節Regulatory Volume Decrease(RVD)の分子機構の解明、(2)これに関与する容積調節性チャネル、ボリュームセンサー、メカノセンサーの遺伝子クローニング、(3)それらの強制発現によるRVD機構の再構成、(4)心筋、脳神経細胞などの虚血条件下におけるRVD破綻及びそれによる細胞死の分子機構の解明、(5)これを防御するための分子論的戦略の確立をめざす。
研究代表者
川嵜 敏祐
所属・役職
京都大学薬学部 教授
研究課題名
糖鎖シグナルを介する生体防御システムの解析
概   要
 先天性免疫は下等動物より高等動物まで動物全般に見られるより基本的な生体防御機構である。最近、先天性免疫において糖鎖シグナルとその認識機構(動物レクチン)が極めて重要な役割を持つことが明らかになりつつある。本研究では、新たに見い出した数種の動物レクチンを中心に、免疫系特異的糖鎖抗原、生体内異常糖鎖シグナルなどに注目しながら、高等動物から下等動物まで普遍的に見られる糖鎖シグナルを介する生体防御機構の全貌の解明をめざす。
研究代表者
笹月 健彦
所属・役職
九州大学生体防御医学研究所 教授
研究課題名
免疫系のフレームワーク決定及び免疫制御の分子機構
概   要
 主要組織適合抗原(MHC)は、自己抗原あるいは外来抗原由来の抗原ペプチドと結合して細胞表面に発現し、その複合体をT細胞受容体(TCR)が認識することで、胸腺及び末梢におけるT細胞の多様な運命が決定される。本研究では、このTCR・MHC・ペプチド相互作用を中心に、T細胞レパートリー決定、すなわち免疫系フレームワークの決定機構、及び免疫制御機構を分子レベルで解明する。その理解に立脚して抗原特異的免疫制御法を確立し、感染症、自己免疫疾患、アレルギー、GvH病、癌等、難治性疾患治療法開発への道を拓く。
研究代表者
杉山 雄一
所属・役職
東京大学薬学部 教授
研究課題名
異物排除システムの分子基盤
概   要
 医薬品を含む広範な低分子性異物に対して生体が、免疫機構とは異なる防御機構として獲得した排除機構に関わる蛋白質には、多様性、遺伝的多型の存在、大きな種差、広範な基質認識性、という共通の特性が存在する。本研究では、これら排除機構を、1)分子輸送(トランスポーター)による排除機構、2)分子変換(代謝酵素)による排除機構との連鎖、3)異物排除系の臓器相関と体内動態の解明とその制御、という観点から明らかにする。
研究代表者
中内 啓光
所属・役職
筑波大学基礎医学系 教授
研究課題名
造血幹細胞の分化と自己複製の制御機構
概   要
 造血幹細胞は「多能性」と「自己複製能」を兼ね備えた細胞と定義され、骨髄中で分化と自己複製を繰り返すことにより、一生にわたり全ての血球細胞を供給し続けると考えられている。研究では、この造血幹細胞の分化と自己複製の分子機構を解明し、in vitro制御技術を開発することにより、遺伝子治療や造血幹細胞移植のための基盤技術を確立することを目的とする。

3.研究領域「量子効果等の物理現象」

研究代表者
井口 家成
所属・役職
東京工業大学理学部 教授
研究課題名
異方的超伝導体の量子効果と新電磁波機能発現の研究
概   要
 酸化物高温超伝導体のペアリング対称性が異方的d波であることが近年判明している。d波超伝導体ではオーダパラメータは異方的であり、特異な現象が出現する。本研究は、ジョセフソン電流等に反映される特異な空間依存量子効果、異方性および酸化物イオン結晶に特有と考えられる新電磁波機能を明らかにし、応用への可能性を探るものである。
研究代表者
小倉 睦郎
所属・役職
工業技術院電子技術総合研究所電子デバイス部 3-5ナノストラクチャラボリーダ
研究課題名
原子層制御量子ナノ構造のコヒーレント量子効果
概   要
 有機金属気相成長(MOCVD)法において、3族および5族の原料ガスを交互に供給することにより原子層ごとに制御された量子ナノ構造(細線、ドットおよびそれらの超格子)を作製し、それらの光学、電子特性を計測およびシミュレーションにより検証するとともに、量子準位のコヒーレントな結合効果を利用した、非線形光学素子や論理演算素子を実証する。
研究代表者
讃井 浩平
所属・役職
上智大学理工学部 教授
研究課題名
自己組織化量子閉じ込め構造に関する研究
概   要
 有機・無機ハイブリッド自己組織型物質を構築し、その量子閉じ込め構造に起因する光学的・電気的物性を明らかにすることにある。そのために、層状ペロブスカイト型物質(RNH)MXに着目して、無機層である(MX)2ーに新規な有機配位子を組み合わせることによって、様々な次元性を持つ自己組織型量子閉じ込め構造を形成し、次元性と光学的・電気的物性との関係を明らかにすることをめざす。
研究代表者
白田 耕藏
所属・役職
電気通信大学電気通信学部 教授
研究課題名
量子固体と非線形光学:新しい光学過程の開拓
概   要
 量子固体として知られる固体水素は、その光学遷移のスペクトル幅が極めて狭く孤立原子のそれと匹敵し、いわば「孤立分子(原子)の量子性と固体の高密度性をあわせ持つ」系となることが知られている。研究では、この固体水素を非線形光学・量子光学の視点からとらえ、原子系で発展してきた光学過程と凝縮系で発展してきた光学過程の双方を融合する従来の枠組みを越えた新しい光学過程を開拓する。
研究代表者
山下 幹雄
所属・役職
北海道大学大学院工学研究科 教授
研究課題名
超広帯域(~550THz)フェムト秒光波の2次元合成多波長ビームによる単一原子分子量子現象素過程の研究
概   要
 独自な手法で新しい極限光波機能(~550THz超広帯域準線形チャープパルス:~1.4サイクル・~2.3fsパルス:独立に整形可能同期異波キフェムト秒マルチビーム)を開拓する。さらに整形フェムト秒光波を用いたダイナミックSTM装置を試作し、整形光波による単一原子分子の超高速量子過程の解明制御を行う。これにより時間空間の両極限域の量子現象を対象とする新分野の構築をめざす。

4.研究領域「単一分子・原子レベルの反応制御」

研究代表者
入江 正浩
所属・役職
九州大学大学院工学研究科 教授
研究課題名
完全フォトクロミック反応系の構築
概   要
 フォトクロミック分子は、光の照射により可逆にその分子構造を変える。この分子系を対象に、空間構造、反応時間、エネルギー等を規制して副反応を完全に排除した高耐久・高感度可逆光反応系を構築することをめざす。この完全フォトクロミック分子系は、様々の光機能素子への応用の可能性を秘めている。
研究代表者
梶本 興亜
所属・役職
京都大学大学院理学研究科 教授
研究課題名
超臨界流体溶媒を用いた反応の制御と新反応の開拓
概   要
 超臨界流体は、臨界温度直上の条件下にある流体で、圧力を調整することによって密度や極性を自在に変え、溶解している分子が感じる「ミクロな反応環境」をコントロールすることができる。本研究は、超臨界流体中で反応している分子のミクロな反応環境や反応中間体を直接観測し、これと反応速度・反応分岐率を系統的に結びつけることによって反応を制御し、新しい反応を開拓する道を開くことをめざす。
研究代表者
鈴木 寛治
所属・役職
東京工業大学工学部 教授
研究課題名
金属クラスター反応場の構築とクラスター触媒反応の開発
概   要
 従来用いられてきた合成化学的手法では達成することのできない新しく効率的な分子変換反応の開発を目的として、金属クラスター反応場を設計・構築する。さらに、固体触媒と錯体触媒の両者の長所、すなわち反応の高速性と高選択性を兼ね備えたクラスター触媒の開発をめざす。
研究代表者
平間 正博
所属・役職
東北大学大学院理学研究科 教授
研究課題名
超天然物の反応制御と分子設計
概   要
 ビラジカルを発生してDNAを切断する低分子とそれを安定化して運ぶ蛋白質複合型抗癌抗生物質や、イオンチャンネル蛋白質に結合して猛烈な神経毒性を発揮する天然物の蛋白複合体の立体構造と機能発現原理を明らかにする。更に、天然物の機能を超えるラジカル発生分子や蛋白複合体を化学合成する新しい方法論を開拓して、機能性材料や医療応用への可能性を探る。
研究代表者
藤田 誠
所属・役職
岡崎国立共同研究機構分子科学研究所 助教授
研究課題名
遷移金属を活用した自己組織性精密分子システム
概   要
 生体構造の形成にも見られる自己組織化のしくみを人工的な系に利用することで、高次な構造や機能を持った分子を複数の小分子から自発的に組み立てることができる。本研究では、適度な結合力と明確な方向性を持った配位結合に誘起され精密分子構造体が一義的に自己組織化する系を研究し、従来の合成化学では到達できない新しい分子・物質の構築法を創成する。
研究代表者
松本 和子
所属・役職
早稲田大学理工学部 教授
研究課題名
生体分子解析用金属錯体プローブの開発
概   要
 生体分子の高感度時間分解蛍光検出用希土類錯体ラベル剤、近赤外域用エルビウム蛍光ラベル剤、核酸の二重鎖を塩基配列選択的に光切断する白金(Ⅲ)二核錯体の合成と検出器の開発を行い、生体分子を分子レベルで解明するための高感度検出システムと核酸の塩基配列特異的検出法を開発する。

5.研究領域「極限環境状態における現象」

研究代表者
赤石 實
所属・役職
無機材質研究所超高圧力ステーション 主任研究官
研究課題名
超高圧プロセスによる天然ダイヤモンド単結晶・多結晶体の成因解明に関する研究
概   要
 世界トップレベルの超高圧合成技術を駆使し、非金属触媒を用いたダイヤモンド合成研究を発展させて、5~10GPa、1000~3000℃の広範囲の圧力・温度領域で天然ダイヤモンド単結晶・多結晶体の成因を解明する。成因解明研究を通して、天然に産出する高純度ダイヤモンド多結晶体”バラス”類似の新硬質材料を合成し、次世代硬質材料の開発をめざす。
研究代表者
安宅 光雄
所属・役職
工業技術院生命工学工業技術研究所生体分子工学部 グループリーダー
研究課題名
磁気力を利用した仮想的可変重力場におけるタンパク質結晶成長の研究
概   要
 構造生物学の発展には、良質のタンパク質単結晶の作製が鍵となっている。また重力パラメータはタンパク質結晶の質を支配する例が知られている。本研究では、磁気力を利用して重力値が連続的に変化するような極限環境を創生し、その中でタンパク質を結晶化し、重力値の変化が結晶成長に及ぼすメカニズムを解明するとともに、良質の結晶の育成に役立てる。
研究代表者
今中 忠行
所属・役職
京都大学大学院工学研究科 教授
研究課題名
深度地下極限環境微生物の探索と利用
概   要
 古くから無菌状態であると考えられてきた深度地下極限環境(無酸素、熱水、油田、岩盤など)を対象として、地下サンプルの採取と各種微生物の分離を行う。さらにその生態系を明らかにするとともに、個々の微生物の環境適応戦略や代謝経路を解明することにより、生命進化過程の理解、環境改善および遺伝子資源の確保をめざす。
研究代表者
遠藤 康夫
所属・役職
東北大学大学院理学研究科 教授
研究課題名
新しい量子自由度・軌道の動的構造の研究
概   要
 電気、磁気、歪み特性が相転移を起こす程大きな変化を起こす磁性(3d、4d,4f,5f金属)酸化物の物性を解明すると、知的マイクロデバイス材料開発に大きな貢献をする。それらの発現因子である電子、スピン、格子を制御するのは新しい量子自由度としての電子「軌道」の役割であると考えている。そこで、この研究では結晶中の軌道の 決定のための新しい実験法の確立と、軌道運動と物性制御との相関原理の発見をめざす。
研究代表者
戸叶 一正
所属・役職
金属材料技術研究所第1研究グループ 総合研究官
研究課題名
超過冷却状態の実現と新機能材料創製
概   要
 本研究の目的は、材料を溶融凝固させる際に従来に無い大きな過冷却状態を実現させ、この状態から非平衡状態で存在する新たな物質や材料を創製することにある。そのため、微小重力の力を借りた無接触浮遊溶解炉や超高真空落下管を開発し、元素単体では従来不可能であった融点の1/3以上の超過冷却状態の達成を目指すとともに、超伝導、磁性、光学等の分野で大幅な特性改善をめざす。
研究代表者
藤田 博之
所属・役職
東京大学生産技術研究所 教授
研究課題名
局所高電界場における極限物理現象の可視化観測と制御
概   要
 局所高電界場における単一原子・分子の極限物理現象を可視化観察し、その解明や制御を行うために、新開発する高性能マイクロマシンSTMにより電界を原子サイズで制御し、位相解析電子顕微鏡法で原子・分子の位置や電界分布を可視化する手法を確立する。この結果を第一原理に基づく理論解析と対比し、極限物理現象を原子レベルで解明することと材料物性や反応を原子相互作用から理解することをめざす。
研究代表者
本河 光博
所属・役職
東北大学金属材料研究所 教授
研究課題名
強磁場における物質の挙動と新素材の創製
概   要
 磁性体以外の物質でも強磁場中では強い反発力と配向効果を示す。この研究では、(1)30テスラ級磁場で重力に逆らって浮揚した状態、即ち新しい極限環境、および(2)10~15テスラ大空間強磁場中において高温高圧長期間利用により、結晶成長、化学反応や物質の合成を行い、新しい機能性素材を創製する。

6.研究領域「脳を知る」

研究代表者
市川 眞澄
所属・役職
(財)東京都神経科学総合研究所解剖発生学研究部門 主任研究員
研究課題名
フェロモンの記憶に関わるシナプスメカニズムの解析
概   要
 フェロモンは動物の社会生活に重要な因子であり、鋤鼻神経系が受容および情報処理に関わっている。研究では、自然の刺激によるシナプスの可塑性と記憶との関わりを明らかにする目的で、フェロモンの記憶を司る鋤鼻神経系副嗅球内の相反シナプスという機能的に重要なシナプスに注目して、フェロモン刺激とシナプスの可塑性との関連を総合的に解析する。この研究によりシナプスレベルでの記憶学習のメカニズムを明らかにする。
研究代表者
裏出 良博
所属・役職
(財)大阪バイオサイエンス研究所分子行動生物学部門 副部長
研究課題名
脳膜神経相関の分子機構
概   要
 脳膜と中枢神経系は脳脊髄液を介して密接な情報交換を行い、相互の機能維持に積極的に関わっている。本研究では脳膜由来の新規神経調節因子・分化促進因子・神経死誘導因子とその受容体を同定し、その作用機構を分子レベルで解明する。その成果は、脳膜による中枢神経系の恒常性維持機構を明らかにし、その機能不全による疾患の予防と治療につながる。
研究代表者
小澤 瀞司
所属・役職
群馬大学医学部 教授
研究課題名
シナプス可塑性の分子機構と脳の制御機能
概   要
 可塑性変化を中心とするシナプスの機能発現の分子機構とシナプス機能が神経回路網での情報処理および個体の行動制御に果たす役割を解明する。実験では、神経回路網の解析が十分に進んでいる海馬と小脳のシナプスを対象として、ウイルスベクターを用いた伝達物質受容体遺伝子の導入法、標的遺伝子破壊法などの遺伝子工学技術により、シナプス機能に外来性に変動を加えて、それが神経回路網での情報処理と個体レベルでの脳の制御機能に与える影響を解析する。
研究代表者
芳賀 達也
所属・役職
東京大学大学院医学系研究科 教授
研究課題名
G蛋白質共役受容体の高次構造
概   要
 Gタンパク質共役受容体は、情動・睡眠・痛みなど遅い伝達系や、早い伝達系の制御など脳機能一般に関わる。各受容体に多数のサブタイプが存在し、多くの臨床薬の標的である。本研究ではムスカリン性アセチルコリン受容体をモデルとして選び、大量に発現・精製して2次元及び3次元結晶を作成し、高次構造の決定をめざす。これによって、Gタンパク質共役受容体の特異的リガンドを理論的に推測する道を拓く。
研究代表者
松崎 文雄
所属・役職
国立精神・神経センター神経研究所 遺伝子工学研究部 室長
研究課題名
神経系の遺伝的プログラムと可塑的メカニズムの研究
概   要
 神経系の複雑な回路網の形成は、神経細胞が多様な個性を獲得することに始まり、その個性に従って、それぞれの神経細胞が標的細胞と機能的なシナプスを形成することで完成する。本研究では、神経幹細胞から神経細胞が生じる分裂過程において、神経細胞の個性を決定する遺伝的プログラムを追及するとともに、シナプスの形成と構造的可塑性を制御するメカニズムを解析することによって、神経系の発生分化の基本原理を明らかにする。
研究代表者
村上 富士夫
所属・役職
大阪大学大学院基礎工学研究科 教授
研究課題名
脳の神経回路形成と可塑性の分子機構
概   要
 神経結合の可塑性の分子機構の解明は、脳の機能の仕組みを知る上で極めて重要な課題である。神経結合の可塑的変化が生じるときには軸索伸長、側枝の形成、標的認識、シナプス形成など、脳の発達期に起こる様々な事象が繰り返される。したがって神経回路形成を支える分子機構の解明は、そのまま可塑性の分子機構の解明につながる。発達期の脳では、入力の一側性の破壊により、通常投射がない側からの投射が生ずるような神経回路の可塑性が生ずることを考えると、神経回路形成の中でも特に交差性神経回路形成のメカニズムの解明が重要である。そこでこの問題に焦点を絞り、まず軸索の正中交差の分子機構の解明をおこなった後、このような可塑性のメカニズムの解明をおこなう。

7.研究領域「脳を守る」 

研究代表者
桐野 高明
所属・役職
東京大学医学部 教授
研究課題名
遅発性神経細胞死の分子機構
概   要
 海馬遅発性神経細胞死はきわめて緩徐に進行し、受動的破壊による細胞死とは異なる。その上流では神経細胞特有の機構による細胞死の決定機構が働き、その間は神経細胞は可逆性で治療可能であり、最終的にアポトーシス共通の経路に達すると不可逆的に進行すると考えられる。本研究では、アポトーシスの上流での神経細胞特有の分子機構、特にカルシニューリンによる細胞死制御の分子機構を解明し、治療可能域を同定することをめざす。
研究代表者
須原 哲也
所属・役職
放射線医学総合研究所高度診断機能研究ステーション 主任研究官
研究課題名
精神分裂病における神経伝達の異常に関する研究
概   要
 精神分裂病の大脳皮質におけるドーパミン神経伝達および関連分子の異常をポジトロンCTを用いて測定し、臨床症状、薬物反応性、受容体遺伝子の変異など複数の指標との関連を明らかにする。さらに生体における大脳皮質ドーパミン機能およびその調節機構を研究することにより、精神分裂病の新しい治療原理の構築をめざす。
研究代表者
田邊 勉
所属・役職
東京医科歯科大学医学部 教授
研究課題名
Caチャネル遺伝子の変異と神経疾患
概   要
 α1AタイプのCaチャネル遺伝子の種々の変異は多彩な神経疾患と関連している。本研究では、遺伝性皮質性小脳萎縮症の一つSCA6の病態とチャネル遺伝子変異との関係を明らかにするとともに、変異α1Aチャネルおよび共存する他のタイプのCaチャネル機能の調節、制御機構の活用により神経細胞の変性脱落の阻止をはかる。そしてCa依存性の神経細胞死を最終局面とする多くの神経変性疾患の治療法開発の基盤確立をめざす。
研究代表者
辻本 賀英
所属・役職
大阪大学医学部 教授
研究課題名
脊髄性筋萎縮症発症メカニズムの解析
概   要
 運動神経変性疾患である神経脊髄性筋萎縮症(SMA)の発症メカニズムは不明であるが、最近その原因遺伝子smnが単離された。この遺伝子産物および我々が解析している他の細胞死関連因子の機能解析を通し、SMAの発症メカニズムを解明するとともに、smn類似遺伝子の存在の可能性やこれら遺伝子の他の神経変性疾患への関与、および治療応用への可能性をさぐる。
研究代表者
中山 敬一
所属・役職
九州大学生体防御医学研究所 教授
研究課題名
神経の再生及び脳移植に関する研究
概   要
 神経細胞は生後は殆ど分裂せず傷害があっても再生することがない。その原因の一つは細胞周期を止める2つの類似した分子p27、p57が神経系に強く発現しているためといわれている。本研究はp27、p57の発現制御機構を解明し、またダブルノックアウトマウスを作成することによって、神経細胞の細胞周期停止メカニズムを明らかにし、阻害剤や遺伝子治療法によって神経再生及び脳移植の可能性を探ることを目的としている。
研究代表者
森 望
所属・役職
国立長寿医療研究センター分子遺伝学研究部 部長
研究課題名
老化脳における神経の可塑性制御の分子基盤
概   要
 脳の老化における最大の問題は神経細胞の不可逆的退行性変化による可塑性の減退である。この研究では、神経細胞の可塑性因子とその発現を制御するシグナル伝達物質、転写制御因子の神経特異性に注目して、その分子基盤を明らかにし、脳における可塑性制御の観点から老化脳の保護の可能性を探る。

8.研究領域「脳を創る」

研究代表者
合原 一幸
所属・役職
東京大学大学院工学系研究科 助教授
研究課題名
脳の動的時空間計算モデルの構築とその実装
概   要
 本研究では、ニューロンのカオス性と非同期性に着目して、脳における非線形時空間ダイナミカル情報処理機構に関する数理モデルを構築するとともに、そのモデルをアナログ・非同期電子回路技術を用いて実装する。この研究によって、現在のディジタルコンピュータとは異なる(そして、ディジタルコンピュータをも内部に取り込みうる)、新しい発想に基づく脳型情報処理システムの構成理論と基盤技術を確立することを目的とする。
研究代表者
河原 英紀
所属・役職
和歌山大学システム工学部 教授
研究課題名
聴覚の情景分析に基づく音声・音響処理システム
概   要
 聴覚の機能を環境との相互作用のためのものとして生態学的な観点で捉える「聴覚の情景分析」の研究は、従来の常識を覆す新しい聴覚情報表現を生み出し「聴覚の計算理論」への手掛かりを与えようとしている。この研究では実時間で動作する新しい聴覚情報表現を用いた音声・音響処理システムの作成と検証・改訂のサイクルを通じて「聴覚の計算理論」の構築をめざす。
研究代表者
小柳 光正
所属・役職
東北大学大学院工学研究科 教授
研究課題名
脳型情報処理システムのための視覚情報処理プロセッサの開発
概   要
 人間の思考や認識のメカニズムに学んだ新しいアルゴリズムを導入して、人間の情報処理機能に似たしなやかな情報処理機能をもつ新しい情報処理システムの実現をめざす。本研究ではその中でも、脳型情報処理システムのプリプロセッサともなる視覚情報処理プロセッサの構築をめざす。光受容部となる人工網膜チップは新たに開発するウェーハ張り合わせ技術を用いた3次元集積回路で構成する。
研究代表者
酒井 邦嘉
所属・役職
東京大学大学院総合文化研究科 助教授
研究課題名
言語の脳機能に基づく言語獲得装置の構築
概   要
 言語は脳の最も高次の情報処理システムであり、言語データを入力して個別文法を出力するような、普遍文法に基づく「言語獲得装置」が脳に存在すると考えられている。この研究では、機能的磁気共鳴映像法(fMRI)により言語の脳機能イメージングを行うことで、普遍文法の機能局在と機能分化を明らかにする。また、この知見に基づいた言語獲得装置の神経回路網モデルを構築することで、脳における普遍文法の計算原理を探る。
研究代表者
武田 常広
所属・役職
工業技術院生命工学工業技術研究所人間情報部 行動制御研究室長
研究課題名
MEGによる人間の高次脳機能の解明
概   要
 全頭型MEGを用いて、人間の5感の動特性、感覚間の相互干渉特性を解明する。また、局在性の良い1次感覚反応の活動源推定問題において、脳の形状や生理的制約条件などを拘束条件として織り込んだ、高速かつ高精度な逆問題解法を考案する。そして、得られた知識をニューラルネットワークモデルに表現して、構成による解析の手法を用いて、数理工学的に脳を創り出し、人間の脳をより深く解明し、脳を創ることに資することを目標とする。

9.研究領域「環境低負荷型の社会システム」

研究代表者
岩田 規久男
所属・役職
上智大学経済学部 教授
研究課題名
都市交通の環境負荷制御システムに関する基礎研究
概   要
 都市交通による混雑や環境負荷の軽減を、社会的費用負担を発生原因者に対して確実に課すことを可能にする経済的インセンティブ手段と、負荷軽減に役立つ工学的技術の融合によって実現するための環境負荷制御システムを開発する。ここに取り上げる工学技術は環境負荷削減に抜本的な効果があるが経済的理由等により普及が進まない電気自動車を中心とした新しい交通システム技術とする。さらに、これらのシステムの導入によって、(1)都市交通システムの改編や土地利用の転換を通じて、都市構造がどう変化し、その結果、(2)都市交通に伴う環境負荷と社会的費用とがどの程度減少し、(3)省エネや(4)経済成長にどのような影響が及ぶかを研究する。
研究代表者
合田 素行
所属・役職
農業総合研究所農業構造部 環境経済研究室長
研究課題名
農山村地域社会の低負荷型生活・生産システム構築に関する研究
概   要
 自給自足的な社会実現のために、可能性をはらむ生活・生産(部分)システムの、モノの動き(生産活動・体制、交易)、情報の動き(市場との関係)、それを支える人の動き(制度、価値観)を一体的に把握する。さらに、そうして捉えられたいわば部分システムを他の地域社会に埋め込むための条件を明らかにし、そのモデルを構築する。
研究代表者
香山 晃
所属・役職
京都大学エネルギー理工学研究所 教授
研究課題名
低環境負荷エネルギー用複合機能構造材料の開発研究
概   要
 一次エネルギーの熱変換技術を基本とする環境低負荷型発電システムを成立させるには、耐熱性やその他の厳しい環境に対する耐性に優れた高性能なエネルギー材料が必要である。本研究では、SiC/SiCやW/W複合材料などの開発基礎研究を通して高性能エネルギー材料(低環境負荷エネルギー用複合機能構造材料)創製及びこれらの材料を用いるシステムめざす。
研究代表者
定方 正毅
所属・役職
東京大学大学院工学系研究科 教授
研究課題名
途上国に適合する連鎖反応を利用した乾式脱硫プロセスの開発
概   要
 連鎖反応は少量のラジカルを与えるだけで目的の反応を迅速に起こさせることができる。本研究では年々深刻化する途上国の酸性雨問題を解決するために途上国のニーズに適合する脱硫技術として連鎖反応を利用した省水型で有価な副生成物を生む低コスト乾式脱硫プロセスの開発を行う。さらに、新脱硫プロセスの導入と総合的なエネルギー利用効率向上の施策による環境改善効果の予測モデルを作成する。
研究代表者
松藤 泰典
所属・役職
九州大学工学部 教授
研究課題名
セラピューティック煉瓦造住宅条件整備に関する研究
概   要
 煉瓦が構成する空間には、癒しと穏やかな親和性に富んだセラピューティックな効果があるといわれている。この研究では高耐久でLCA評価の高い煉瓦造住宅に乾式組積工法を用いて、我が国の気候風土に適した省エネ型の室内熱環境、耐震性、及び、リサイクル性を確保するとともに、産業廃棄物である石炭灰を利用した多様な色彩・テクスチャーの煉瓦で妥当な価格の煉瓦造住宅とセラピューティックな生活空間の実現をめざす。
研究代表者
吉川 邦夫
所属・役職
東京工業大学大学院総合理工学研究科 助教授
研究課題名
高温空気燃焼技術を用いた廃棄物・石炭高効率発電
概   要
 我が国で開発された高温空気燃焼技術を用いて、廃棄物や石炭などの環境負荷の高い燃料に適用可能な、高効率、低環境負荷、しかも低コストの発電システムを開発することを目的とする。本発電システムでは、1000℃以上に加熱された高温空気で燃料をガス化し、生成ガス中の環境汚染物質を除去した後に、生成ガスを再び高温空気で低NOx燃焼させて、蒸気タービンやガスタービンを駆動する方式を採用している。

10.研究領域「地球変動のメカニズム」 

研究代表者
今脇 資郎
所属・役職
九州大学応用力学研究所 教授
研究課題名
黒潮変動予測実験
概   要
 本研究は、人工衛星による海洋観測、現場での黒潮の流量測定、海洋データの同化、海洋数値モデルなどにおける最近の目覚ましい進展を受けて、日本南岸での黒潮の流軸位置や流量の変動の予測に挑戦するものである。そのため、黒潮域および北太平洋の亜熱帯循環域に関する観測データを収集し、データを同化モデルによって編集し、編集したデータを用いて将来の変動を予測できる実用予測モデルを開発することをめざす。
研究代表者
野尻 幸宏
所属・役職
国立環境研究所地球環境研究グループ 総合研究官
研究課題名
北西太平洋の海洋生物化学過程の時系列観測
概   要
 生物生産の大きい北西太平洋高緯度域の物質循環を明らかにするため、既存観測航海を利用した設定定点における繰り返し観測により、海水の炭酸系、生物化学項目、ガス交換を重点計測する。データは既存時系列観測である定期貨物船観測、衛星観測と総合解析する。さらに、JGOFS時系列観測(ハワイ、アラスカ湾)と比較して太平洋全域の炭素循環プロセス解明をめざす。
研究代表者
福井 康雄
所属・役職
名古屋大学大学院理学研究科 教授
研究課題名
超伝導受信器を用いたオゾン等の大気微量分子の高度分布測定装置の開発
概   要
 オゾン・ClO等の高度別時間変動を、高精度で測定するために、低雑音超伝導受信器、広帯域音響光学型分光計、小型4Kクライオスタット等を開発し、携帯型高度分布測定装置を製作する。さらに、このシステムを南米チリに設置して、まだデータがほとんどない南半球中緯度におけるIゾン・ClO等の高度分布の測定を行い、 オゾン破壊の実態の解明を行う。
研究代表者
本多 嘉明
所属・役職
千葉大学環境リモートセンシング研究センター 助教授
研究課題名
衛星観測による植物生産量推定手法の開発
概   要
 全球での植物生産量を知ることは物質循環の解明や食糧問題解決に重要である。平坦・均質・広大な草原サイトでの植物生産量の実測手法を開発し、衛星観測データと直接比較することを可能にする。これにより衛星データによる植物生産量推定結果を実証的に検証することができ、衛星による植物生産量推定モデルの開発とモデルの高精度化が可能になる。将来的には開発された推定モデルを基礎に全球植物生産量推定手法の開発をめざす。
研究代表者
若土 正曉
所属・役職
北海道大学低温科学研究所 教授
研究課題名
オホーツク海氷の実態と気候システムにおける役割の解明
概   要
 オホーツク海は、地球上で最も低緯度に位置する海氷域である。そこは北太平洋中層水の起源域であり、二酸化炭素の吸収域、高生物生産域など物質循環の見地からも重要な海域である。本研究では、はじめての本格的な海洋観測をロシアの協力により3年間実施し、オホーツク海における海氷の実態と気候システムにおける役割についての解明をめざす。

This page updated on March 26, 1999

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