科学技術振興事業団報 第281号
平成14年11月28日
埼玉県川口市本町4-1-8
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フェムト秒レーザーによる硬質薄膜表面のナノ加工技術を開発

 科学技術振興事業団(理事長:沖村 憲樹)と福井県にて平成12年度より推進中の福井県地域結集型共同研究事業(中核機関:(財)福井県産業支援センター(理事長:下川 道雄)、事業総括:松浦 正則((株)松浦機械製作所 代表取締役社長))において、フェムト秒超短パルスレーザーを硬質薄膜に照射することにより、レーザー波長の1/10〜1/5のサイズの周期的微細構造を薄膜表面に形成し、レーザー波長と偏光を変化させて微細構造の形状・サイズを制御する新技術を世界で初めて開発した。この技術は、マイクロマシン等のナノテクノロジーや磁気記録分野において、極微小表面のトライボロジー特性をナノメートルレベルで制御・最適化する次世代要素技術として拡張性が高い。本研究成果は、福井県産業支援センター 安丸尚樹研究員(福井高専教授)、木内淳介研究員(アイテック(株))および京都大学 宮崎健創教授の共同研究チームによって得られたもので、特許として出願し、近々外国論文誌の速報にも掲載予定である。
 近年、環境負荷が小さく、摩擦・摩耗・環境遮断性等に優れたTiN(窒化チタン)やDLC(ダイヤモンド状炭素)等の高機能硬質薄膜の応用例が急増している。これら硬質薄膜は機械加工や化学反応による除去加工が困難な典型的な難加工材であり、フェムト秒超短パルスレーザーによる精密制御加工が検討されている。当研究チームは、TiNおよびDLC薄膜へのフェムト秒レーザーの表面加工照射実験において、アブレーション閾値近傍の低フルーエンス(エネルギー密度)で照射することにより、薄膜表面にレーザー波長の1/10〜1/5と非常に小さい周期的微細構造が形成されることを見出した。さらに、この超微細構造は、レーザーの偏光を制御することにより直線状からドット状の構造までパターンを変化させることが可能で、そのサイズはレーザー波長に比例して変化し増減可能であることを実証した。例えば267nmの紫外フェムト秒レーザーを用いることにより、数10nmとナノメートルレベルの周期的微細構造が加工できることを明らかにした。本来、レーザー加工では波長オーダーの加工が下限とされ、ナノメートルレベルの微細加工にはX線レーザーの開発が必要とされていた。このナノ加工技術は、マイクロマシン等のナノテクノロジーや磁気記録分野等において、極微小表面のトライボロジー特性を制御・最適化する次世代要素技術として拡張性が高く、例えば、ナノグラインダー等の開発へ応用できる。また、各種固体材料でも同様な制御加工技術が適用可能であり、表面積の増加や表面のドット状構造化による機能性デバイスの特性向上、複合構造膜の前処理技術など幅広い応用展開が期待される。
 福井県内には精密加工技術に関連した産業が多く、福井県地域結集型共同研究事業では、フェムト秒レーザーの特徴を生かした次世代要素技術として、ナノ加工技術の研究を推進していく予定である。


フェムト秒レーザーによる硬質薄膜のナノ加工周期的微細構造の偏光と波長による変化:DLC
フェムト秒レーザーによる硬質薄膜のナノ加工周期的微細構造の偏光と波長による変化:TiN



本件に関する問い合わせ先:

安丸 尚樹(やすまる なおき)
 福井工業高等専門学校 機械工学科 教授
 〒916-8507 福井県鯖江市下司町
 TEL: 0778-62-8254 / FAX: 0776-62-3306  

菊池 文彦(きくち ふみひこ)
 科学技術振興事業団 地域事業推進室 調査役
 〒332-0012 埼玉県川口市本町4−1−8
 TEL: 048-226-5634 / FAX: 048-226-5666

青山 文夫(あおやま ふみお)
 財団法人 福井県産業支援センター
 産業科学技術研究センター 室長
 〒910-0102 福井県福井市川合鷲塚町61−10
 TEL: 0776-55-1555 / FAX: 0776-55-3430


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