新規採択研究代表者・個人研究者および研究課題概要
さきがけプログラム
  研究領域「機能と構成」

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
飯田 弘之 静岡大学 情報学部 助教授 探索と知識の融合がもたらす知能の創造と進化 問題領域を限定するとき、探索と知識の融合によって超高度な知能を実現することが可能です。このようにして実現される機械的な知能は、人間の知能とは異なる特徴を持っています。本研究では、名人を超える将棋システムの研究開発に取り組み、知能の創造と進化という観点から、そこに内在する機能と構成の美を科学的に解明します。さらに、意思決定システムの多様性や、知能とゲームの進化を探求します。
井口 寧 北陸先端科学技術大学院大学 情報科学センター 助手 ハードウェア・プログラミングによる超細粒度並列処理 VLSI内の論理回路は、各部分回路が独立に動作し、本質的に並列動作を行なっています。そこで、ソフトウェア・アルゴリズムに内在する演算子をそれぞれ独立した演算器としてVLSI上の論理回路上に展開できれば、究極の超細粒度並列処理が可能となります。本研究では、ソフトウェアから演算子レベルの並列性を抽出してハードウェア記述言語に変換し、アルゴリズムを並列演算回路として論理回路上に直接展開・実行する技術の開発を目指します。
大崎 人士 産業技術総合研究所 情報処理研究部門 研究員 刺激応答型実時間システムの自動検証技術-安全性・信頼性技術の開発- 「設計の初期段階で誤りを検出しなければならない」、「いちど稼働させてしまったら容易に停止させることはできない」といった情報システムのための検証技術の確立を目指します。このために、ツリー・オートマトン理論に根ざした研究成果を応用し、検証手続きの自動化に取り組みます。無限状態をいかに効率よく扱うか、そのために刺激応答型実時間システムをどのように数理的モデルとして取り込むか、が本研究の焦点になります。
DEFAGO Xavier 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 助手 大規模分散アルゴリズムの開発及び性能評価ツールの構築 大規模分散アルゴリズムの設計は非常に活発で有望な研究分野ですが、既存のアルゴリズムのスケーラビリティを実際に評価する研究はこれまであまり見られませんでした。本研究では、この問題に対応するため、LANまたはStarBedを用いて、プログラムのシミュレーションや実行のための通信プラットフォームを研究開発します。更に、耐故障分散アルゴリズムの性能比較を行い、このアプローチの評価を行ないます。
丹羽 純平 東京大学 大学院 情報理工学系研究科 助手 広域分散共有メモリ機構を支援する最適化コンパイラ 超高速WANで接続された計算機を並列計算機資源として使用する広域計算が次世代計算プラットフォームとして注目を集めつつあります。本研究では、そのようなプラットフォーム向けの、最適化コンパイラによる静的解析と効率的な実行時ライブラリを組み合わせることによって遠隔メモリアクセスのレイテンシを削減し、効率的な耐故障性機構を備えた高性能分散共有メモリ機構の実現を目指します。
長谷川 真人 京都大学 数理解析研究所 助教授 プログラミング言語の制御構造の意味論的分析 種々の制御構造やそれに伴う副作用を用いるプログラムの振る舞いを、プログラム意味論の最新の成果を利用して適切に定式化し分析することにより、プログラムの制御構造に関する、正確かつ有用な原則を抽出します。これにより高度な理論的成果を得るとともに、ソフトウェア開発・解析・検証技術への具体的な応用を目指します。
結縁 祥治 名古屋大学 大学院工学研究科 助教授 Webアプリケーション指向ソフトウェアモデリング Webアプリケーションはネットワーク上の情報システムを構成するソフトウェアです。さまざまな言語で記述されたプログラムの集まりとして記述され、各プログラムの統合体として振舞います。このため、新たなモデルに基づいたプログラミング方法論が必要となります。本研究では、振舞合成メカニズムに基づく新しいソフトウェアモデルを提案し、ソフトウェアとしての高い信頼性と品質を持つWebアプリケーションの効率的な開発手法の確立を目指します。

総評 : 研究総括 片山 卓也(北陸先端科学技術大学院大学 教授)
「これからの社会を支える先進情報システムとその構成を目指して」
 本領域は、先進情報システムとその構成に向けて、独創性に富んだ提案を積極的にとりあげようとするものです。具体的には、これからの社会を支える高度な機能をもった情報システムの構築を目指し、そのための構成や構築方法に関して、基本技術や先進応用事例および基礎となる理論の研究を行います。
 例えば、ソフトウェア、ネットワーク、プロセッサ、分散・実時間・埋め込みシステム、セキュリティ、設計・実装・進化方法論と環境、テスト・検証技術、形式的手法、高信頼性技術、ユーザインタフェースなどの研究を含みます。
 平成14年度の「機能と構成」領域の応募は42件ありました。その内訳は、ソフトウェア開発技術・プログラム言語等ソフトウェア技術に係わるものが17件、ネットワークの構築技術・利用技術等ネットワークに係わるものが7件、システムやデータベース構築技術に係わるものが12件、ハードウェア開発技術等を含めその他が6件となっています。
 本年度も昨年度と同様やや少ない応募結果となりましたが、わずかに増加しており、全体としては応募件数が減少傾向にあることを考えれば、応募促進活動の効果が多少はあったものと考えられます。
 これらの研究提案は、8名の領域アドバイザーに審査を依頼し、第一次として20件を選定しました。この20件については、第二次審査として面接による審査を行い、最終的に研究総括と領域アドバイザーの合議により採択課題7件を決定しました。
 本年度も期待したほどの十分な数の応募者を集めることは出来ませんでしたが、採択された提案は、いずれも優れたものでありました。採択に至らなかった提案の中にも捨てがたい独創性の高い研究計画が少なくなく、これらを採択課題に加えられなかったことは残念です。

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This page updated on October 31, 2002

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