新規採択研究代表者・個人研究者および研究課題概要
さきがけプログラム
  研究領域「相互作用と賢さ」

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
今井 倫太 慶應義塾大学 理工学部 助手 認識と演出の相互作用に基づくコミュニケーションロボットの実現 本研究では、演出・認識・発話/ジェスチャ生成の三つの過程(演出ルール)を利用したコミュニケーションロボットを構築します。具体的には、1.ロボットが生成する発話/ ジェスチャと人間の認識対象との関係についての研究、2.認知研究を基にした汎用的で実用に耐えうる演出ルールを作る研究、3.演出データベースを構築し、演出ルールの連鎖を制御する機構を作る研究を行い、これらをロボット上で実現します。
工藤 卓 産業技術総合研究所 人間系特別研究体ニューロニクスRG 研究員 賢くなる2次元神経回路網によるパターン認識 2次元神経回路網と電子機器が互いに相互作用しながら情報を創発する系を構築し、応用システムとしても研究対象としても魅力的な人工情報体の構築を目指します。電流入力・生育環境フィードバック培養と回路網の入出力特性の解析を併用して逆説的に神経回路網の特性を記述する手法を確立します。神経回路網をパターン・ディテクタとして作動させてその挙動を解析し、情報処理を制御する分子機構を考察して神経回路網を制御する技術を確立します。
久保田 直行 福井大学 工学部 助教授 人間とロボットの相互関係形成のための構造化学習 人とロボットのコミュニケーションを可能にする相互関係の形成を目指し、ロボッ トの知覚システム、行為システム、及び評価システムがカップリングされた構造的な 学習方法を構築します。人や環境との相互作用の中から抽出される相互関係に基づく 状況の知覚を実現し、互いに未来に情報を探索しあうプロセスとして捉えたコミュニ ケーションの方法論を提案します。
砂田 茂 大阪府立大学 大学院工学研究科 助教授 環境・防災モニタリング用小型2重反転回転翼機の開発 重量が100~200グラム程度でサイズが20~30センチメートル程度の、墜落しても大きな災害を引き起こさない小型2重反転回転翼機の開発を行います。近年急速に小型軽量化が進むカメラ、各種センサを本開発機に搭載することで、都市空間上空や人間が近づくことができない危険な空間での情報収集システムを実現し、人間の情報収集能力の格段の向上を狙います。
友納 正裕 (無所属)     環境とのインタラクションによる空間構造の獲得 環境の空間構造を物体単位に分節化して認識および獲得する知能ロボットの研究を行います。具体的には、ロボットが環境内を移動しながら、物体の位置情報や形状情報を獲得し、その配置地図を構築していきます。そして、得られた空間構造に適切な指示語を対応づけることにより、ロボットへの高度な行動指示を行うことを目指します。
長谷川 修 東京工業大学 像情報工学研究施設 助教授 学習によるシーン理解の研究 人とシステムの豊かな協調・共生のために必須の要素技術の一つである、屋外といったあらかじめ特定することの不可能な環境(シーン)下でも柔軟に機能するビジョンシステムは未だ存在しません。本研究では、そうしたビジョンシステムの実現のためには、未知環境と既知環境との差をシステム自らが見出し、それを自己組織的に吸収・獲得する学習・認識メカニズムの確立が不可欠と捉え、その探求と実装に挑みます。
平田 泰久 東北大学 大学院工学研究科 助手 人間・環境適応型知的歩行支援システム 本研究では、高齢者や障害者が自律した生活を送るために重要な機能の一つである歩行の支援に注目し、総合的な歩行支援システムの研究・開発を行います。本システムは、操作性の良い可変型歩行支援機とマニピュレータによる作業実行システムとから構成され、人間とシステムが力学的な相互作用を行うことにより、人間の意図を推定し、システムが賢くなり、利用者それぞれの障害に適応した高い操作性と高い安全性を有したシステムとします。

総評 : 研究総括  原島 文雄(東京電機大学工学部 教授)
本領域「相互作用と賢さ」としては、最終年度の募集となった。
 本領域は、人間の知力と行動力を最大限に発揮させる人工生命体とも呼ぶべきシステムを構築しようとするもので、人間と機械が相互作用としての物理的関係と情報交換によって、さらに賢くなる人工の空間形成に関する研究を対象として、21世紀半ばまで視野に入れた斬新な研究の提案を期待し募集を行った。
 本年度は50件の応募が寄せられ、内訳は、仮想電子都市を用いた震災情報提供システムの構築など新概念に基づくシステムの設計・構築に関する研究16件、マン・マシーンインタフェースに関する研究8件、知能ロボットに関する研究7件、学習機能に関する研究7件、微小機械に関する研究3件、情報の感知と命令の集積・融合化3件、メカトロニクスに関する研究、人工現実感に関する研究各1件、その他3件であった。
 選考にあたっては研究総括並びにアドバイザーは特に「相互作用と賢さ」のテーマへの適合性、独創性、新規性、並びに社会にインパクトを与える新しい技術分野を創出する可能性のあるテーマであることなどの点について重点を置いた。
 書類選考では、応募課題が広範で多岐にわたるため、研究総括並びに複数のアドバイザーによる査読を行い、アドバイザーはそれぞれ専門家としての視点から評価とその根拠を述べると共に、別途研究総括は、自らの評価とアドバイザーの見解について議論しながら選考作業を進め、12件を選定した。
 この12件については、第二次審査として面接による選考を行い、最終的に研究総括並びにアドバイザーの合議により採択課題7件を決定した。
 採択した7件に関しては、「相互作用と賢さ」領域において研究を進める上で、より独創性に富み将来性のある課題を発掘できたと評価できる。

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This page updated on October 31, 2002

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