新規採択研究代表者・個人研究者および研究課題概要
さきがけプログラム
  研究領域「情報基盤と利用環境」

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
飯田 全広 三菱電機エンジニアリング(株) 鎌倉事業所   自律再構成可能な論理デバイスの実現 再構成可能な計算機システムの実現に向けて、回路を動的かつ自律的に変更できるデバイス・アーキテクチャの研究を行います。従来のプログラマブル・デバイスも実装される回路を自由に書き換える機能を持っていますが、動的に再構成することは困難です。また、デバイス自体が自律的に再構成することはできません。本研究は、動的かつ自律的な再構成機能を持たせることで、再構成可能な計算機システムの中核デバイスの実現を目指します。
五十嵐 健夫 東京大学 大学院情報理工学系研究科 講師 思考支援とコミュニケーションのための3次元CG製作・利用技術の開発 本研究では、現在専門家の手でなされているCG作成の手間を大きく軽減することにより、ワープロや電子メイルのように日常的な知的生産活動の道具として使用可能な3次元CG・アニメーションの構築・利用環境の実現を目指します。具体的には、スケッチ入力等により簡単に3次元形状や3次元的な動きを表現する技術、複雑な3次元構造を正しく理解することを助けるためのインタラクション技術などの開発を行います。
浮田 宗伯 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 助手 柔軟なユキビタスカメラ環境の構築と広範囲対象追跡への応用 カメラシステムを実世界中に遍在させることにより、監視・誘導・ITSなど、様々な視覚システムのためのインフラ技術を確立したいと考えています。そこで、タスクに応じて必要となる多種多様なカメラを備え、柔軟に拡張可能なユビキタスカメラシステムの研究を進めます。また、このユビキタスカメラシステムを利用して、「広域における多数対象の追跡」の実現を目指します。
吉瀬 謙二 電気通信大学 大学院情報システム学研究科 助手 制御フローコードとアドレス計算コードの分離による新しいプロセッサアーキテクチャの研究 将来にわたり高いプロセッサの性能向上を維持するためには、10億個のトランジスタという莫大なハードウェア資源を用いて、高い命令レベルの並列性を抽出する新しいプロセッサアーキテクチャが必要とされています。 本研究では、消費電力の削減と高速化を達成するプロセッサアーキテクチャとして、制御フローコードとアドレス計算コードを分離する手法により新しいプロセッサアーキテクチャの実現を目指します。
中島 康彦 京都大学 経済学研究科 助教授 命令列の多重入出力構造を利用した演算高速化 記憶と類推に基づき、いかに演算および主記憶アクセスを行わずに、既存オブジェクトを高速実行するかについての研究を行います。各命令の入出力は、所属する関数やループなどの機能ブロックの入出力でもあり、多重入出力構造を形成しています。このような構造と、従来のプログラミングスタイルから利用可能なハードウェアを組み合わせることにより、従来の命令レベル高速化手法では実現できない、高速演算機構の確立を目指します。
本間 尚文 東北大学 大学院情報科学研究科 助手 ハードウェアアルゴリズムの進化的合成に関する研究 本研究では、演算回路自体の構造を、演算アルゴリズム(ハードウェアアルゴリズム)に関する専門知識を用いずに、創発的に生成するシステムの確立を目指します。回路構造を効率よく進化させることに特化した進化的計算手法の理論的基礎を明らかにするとともに、多様なハードウェアアルゴリズムを生成するためのシステム実装技術を開発します。

総評 : 研究総括  富田 眞治(京都大学 教授)
 この研究領域は、昨年度からスタートし、本年度は第二年次である。10億個のトランジスタがチップ上に集積できる時代、およびインターネットでコンピュータ利用環境が激変する時代における、新しいコンピュータシステムの基盤技術と利用技術に関連した研究提案を募集している。
 今年度の募集にあたり、情報処理学会・電子情報通信学会の会員や本領域の参加研究者が所属する機関に対して「さきがけ研究21」の趣旨および本領域の研究活動について広報活動を行ったにもかかわらず、研究提案が24件と昨年の42件から減少した。しかしながら研究提案としては総じてレベルは高く、選考は困難を極めた。 応募件数の内訳は、アーキテクチャ7件、ソフト・コンパイラ・OS4件、DA/CAD・システムLSI6件、インターネット・マルチメディア7件であった。
 応募課題は広範で多岐にわたるため、研究総括並びに複数のアドバイザーによる査読、評価を行い書類選考では12件を面接選考対象とした。さらに面接選考で6件を採択研究提案として選定した。今年度はコンピュータシステムに関わる環境が激変するなかで、将来のコンピュータ利用環境から生じるニーズと集積回路技術を中心としたシーズを融合する新しい独創性のあるコンピュータシステム構築技術に関する研究の採用に配慮した結果、有望且つ斬新な研究提案を選定することができた。

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This page updated on October 31, 2002

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