外部の磁場により磁石になりやすい鉄、ニッケル、コバルトなどの物質を強磁性体と呼ぶ。この強磁性体は、外部の磁場を受けると、磁気のない状態(点O)から、磁気を帯びて磁石になる(磁化される)。このとき、単位面積当たりのN極からS極へ向かう磁気の流れを磁束密度といい、磁石の強さを表す。外部磁場が強くなると磁束密度が増えていくことから、この磁束密度と磁場との比を透磁率といい、透磁率が高いほど弱い磁場でも高い磁束密度が得られる。そのまま、強磁性体に磁場を加えて磁化していくと磁束密度の限界が存在し、これを飽和磁束密度(点C、点F)といい、飽和磁束密度が高いほど強力な磁石となる。磁束密度が飽和した後、外部磁場を無くしても強磁性体に残る磁束密度を残留磁束密度(点D、点G)、強磁性体の磁束密度を零にするために必要な外部磁場(点E)を保磁力と言う。通常、高い保磁力の物質(硬磁性材料)は永久磁石に、高い透磁率と低い保磁力の物質(軟磁性材料)は電磁石やトランス、コイルのコアに使用される。
 さらに、強磁性体が磁化した後に、外部磁場により点Cから点D、F、Gを通り点Cに戻る磁気ヒステリシス曲線内を移動する際に、エネルギーが消費され熱になることを磁心損失(コアロス)という。磁心損失は磁気ヒステリシス曲線の面積に比例するため、面積が少ないほど磁心損失が少ない。

B:磁束密度(T:テスラ)
H:磁場(A/m)
飽和磁束密度   残留磁束密度   保磁力   飽和磁束密度   残留磁束密度
H 保磁力
     透磁率=B/H

(入力周波数1kHz)


This page updated on March 5,1999

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