総評:研究総括 古田 勝久 (東京電機大学 教授)


 アフガニスタンをはじめ、世界の数多くの国において、埋設された地雷が復興・開発上の大きな障害の一つとなっています。アフガニスタンの地雷原を視察しましたが、空港、住宅地、農地や放牧地など生活環境の中に対人地雷が多数埋設されている現状を目の当たりにしますと、地雷探知・除去支援活動の意義を強く感じます。
 人道的観点からの地雷除去活動は、現地の作業員による手作業が中心となっており、作業中の事故により多くの作業員が傷ついています。そのため、対人地雷の探知・除去活動をより安全かつ効率的に実施できるよう、手作業に代わる新しい技術を本研究開発によって目指し、「顔の見える援助」の実現をはかり国際貢献に寄与することは、重要な意味を持つものと思われます。
 今回の募集に対し、82件の応募がありました。審査に先立ち、現地ニーズを把握するために、地雷探知・除去活動の専門家を海外から招聘して意見交換を行いました。提案課題に対して、5名の領域アドバイザーの協力により書類審査を行い、領域の趣旨に沿った特に優れた提案課題27件を面接対象として選定しました。さらに、アフガニスタンを含む海外から実際に地雷探知・除去活動に従事している方々を招聘し、各々の面接対象課題について意見交換を行いました。その議論を踏まえて面接選考を行いました。
 採択に関しては、アフガニスタンでの視察により得た知見や海外からの招聘者の意見を十分に考慮して、現場ニーズに応えることが期待される技術という観点から12件の提案課題を選定しました。
 今後の研究開発の推進において、地雷被埋設国の現場ニーズを把握することにより研究開発の方向性を常に明確にしつつ、代表研究者の方々と十分な議論を重ねながら現地実証試験を目指していきたいと思います。また、スケジュール内に目標達成する観点から、最適な技術を絞り込み、それ以外の課題は研究開発を途中で打ち切ること、複数課題の連携や融合を行うことが必要であると認識しております。

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This page updated on October 8, 2002

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