<用語解説>
*1 人工原子:
 半導体などを用いて人工的に作製したナノ(1ナノは10億分の1)メートルスケールの微細な構造を量子ドットと呼びます。特に少数個の電子しか存在しない量子ドットでは、通常の原子でみられる電子の性質を示すことから、人工原子と呼ばれます。

*2 量子コンピュータ:
 量子力学の原理を用いて複雑な計算を超高速で並列に処理する量子コンピュータは、従来のコンピュータをはるかにしのぐ性能が得られる可能性があります。液体分子を用いた核磁気共鳴量子コンピュータによる基礎研究が最も進んでいますが、集積化が可能な固体素子による量子コンピュータの実現が望まれており、電子スピン量子コンピュータはその有力候補の1つです。

*3 量子ビット:
 量子コンピュータを構成する記憶素子の最小単位。これは従来のコンピュータのデジタル信号の1ビット(0または1)と異なり、0と1の重ね合わせ状態(例えば、0が30%で、1が70%という確率情報)を表すことができます。

*4 電子スピン:
 電子は、電子の電荷によって電流を運ぶだけでなく、電子のスピン(自転)によって微小の磁石のような振る舞いをします。従来の電子デバイス等では電荷の性質のみを利用してきましたが、スピンによって新たな機能をさぐる研究が盛んになっています。

*5 選択則:
 通常の原子においては、光の放出・吸収に対する選択則がよく知られており、その1つに、光の放出・吸収によって電子スピンが変化しないという法則があります。本成果は、人工原子においても選択則が成り立つことを示したものです。

*6 量子ロジックゲート:
 量子コンピュータを動作させるための情報処理の基本単位。量子コンピュータにおける論理演算を行う動作を量子ロジックゲートと呼び、数種類の量子ロジックゲートの組み合わせによって、すべての量子計算を行うことができます。

*7 エネルギー緩和時間:
 電子がエネルギーの高い1の状態からエネルギーの低い0の状態へ変化する時間のことで、メモリとして情報を保持可能な時間の事です。



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