研究開発課題の概要

○ 誰でも使える動物培養細胞キット
動物の培養細胞の取り扱いには、高度な技能、高価な設備、安全性の確保等が必要とされ、利用者や使用場所が限定されている。本課題では、特別な設備を必要とせず容易に培養可能なサケやコイの不死化魚類細胞の開発を進め、「いつでもどこでも誰でも使える培養細胞キット」を開発する。開発する実験系とその関連システムは、生物教材や毒性試験等に利用できる。



○ 高機能バイオセンシングシステム
両末端に異なる官能基を有するヘテロ2官能性ポリエチレングリコールを利用し、表面ブラシを構築することにより、生体成分の非特異吸着を抑制するとともに自由末端にリガンドを導入し、高感度バイオセンサーやナノ検出粒子の開発を行う。これらは特にプロテオームや遺伝子検出などあらゆるバイオ検出法の心臓部としての利用が期待される。



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○ 難治性疼痛抑制薬の開発
“痛み”非感受性動物および野生型動物を利用して種々疼痛モデルを作製し、遺伝子群の発現パターンを統合的に解析する。それらの中から“痛み”ターゲット分子を効率よく探索し、神経因性疼痛や癌性疼痛などこれまでに有効な治療法の見出されていない難治性疼痛に対し特異的な治療薬を開発する。



○ 多用途小型循環動態モニターシステム
容積振動法あるいは容積補償法、及び電気的アドミタンス法により、複合した1つのセンサ技術で非侵襲に血圧・心拍出量等を測定できるモニターシステムの研究開発を行う。小型で簡便な装置であることから、スクリーニング検査、健康管理、疾病予防、今後の在宅医療など病院内外の広範な分野での利用が期待される。



○ 産業用リアルタイムCT技術
少数方向のX線投影から超並列計算処理で画像を再構成する、コンパクトな産業用3次元リアルタイムCT装置を研究開発する。この装置により、ベルトコンベア上の移動する対象物の内部を、非破壊かつリアルタイムで安価に画像化することが可能なため、半導体生産工程や空港などでの検査で、対象物内部の異常や異物を検査・監視する装置への応用が期待される。



○ 次世代型統合CAEシステム
一般的なCAEソフトは設計仕様が出揃わない設計初期段階での利用が困難で、コスト・時間を必要とする。本研究開発では、ハイブリッド部分構造合成法解析技術、四辺形・六面体メッシュ生成技術、ポスト処理技術などの独自技術から構成される、純国産の特に設計初期段階への有効な使用を考慮したフレキシブルな統合CAEシステムの開発を行う。本技術は、システムとしてだけでなく、各技術単体としても、広範囲な分野での利用が期待される。



○ 超強力永久磁石を応用した医療用加速器の小型化
近年加速器を用いた粒子線治療により、副作用の少ない、質の高い治療が実証され大きな成果をあげている。しかし、加速器は装置が大きく、高価なため、市場普及の妨げとなっている。本研究開発では、独自の磁気回路による超強力永久磁石を応用した小型シンクロトロンシステムの研究・開発を行い、安価な装置普及のための事業化を図る。



○ 時系列変換パルス分光計測システム
本分光計測システムは、超短パルス光励起による放射電磁波を利用した次世代型分光計測システムであり、固体(強誘電体薄膜、セラミックス材など)、溶液、重分子気体など種々形態の試料の分子分光学的物性定数の非破壊・高速自動測定を可能とする。本技術は、分光測光上の原理的優位性により、ミリ波から中赤外波長の広帯域に対応でき、基礎研究分野を始めとする広範囲な分野での利用が期待される。



○ テーラーメイドワクチン診断装置
癌、感染症の防御にはキラーT細胞や抗体などの特異免疫が働いている。それは個々人によって異なるが、癌、感染症が発病している場合は免疫低下を伴う。個々人に適したペプチドワクチンを選定する診断システムを開発することで、テーラーメイド型のワクチン投与を可能として、投与により免疫力を増強させ疾患を治癒できることが期待される。



○ トランスポゾンによる網羅的変異マウス作製
トランスポゾンはゲノム上を自由に移動 できる単位である。そのトランスポゾンをマウス作製に応用すると遺伝子が改変されたマウスが網羅的に誕生する。誕生したマウスの表現型を詳細に解析、維持飼育することにより、疾患に関連する遺伝子機能解明や創薬のための研究に供する。


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This page updated on August 8, 2002

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