科学技術振興事業団報 第22号

平成9年5月27日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話 (048)226-5606(総務部広報担当)

「ハードディスク用接触型薄膜磁気ヘッド」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、名古屋大学工学部教授 松井正顯氏の研究成果である「ハードディスク用接触型薄膜磁気ヘッド」を当事業団の委託開発課題の平成6年度課題として平成7年3月から平成9年3月にかけて大同特殊鋼株式会社(社長 冨田寛治、本社 愛知県名古屋市中区錦1丁目11番18号、資本金371億円、電話 (052)201-5111)に委託して開発を進めていた(開発費4億3千万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 近年マルチメディアの出現により情報処理機器の大容量化が一段と進み、パーソナル・コンピュータなどで用いられるハードディスクについても高密度記録化が要求されている。ハードディスクは、現在、摩耗や振動対策のため、磁気ディスクから磁気ヘッドを浮上させて記録・再生を行う方式が用いられているが、この方式では記録密度は磁気ヘッドの浮上量が大きくなるに従い減少するため、浮上させずに記録・再生を行う接触型の磁気ヘッドの開発が望まれている。このような要請から、摩耗や振動の問題点を解消できるアイディアとして、これまで超薄型・超軽量の薄膜ヘッド(ヘッドチップ)を弾性を持った薄い板(サスペンション)に接合した構造のものが提案されてきたが、高精度の接合技術が確立されていないため実用化には至っていなかった。
 本新技術は、各々金を薄くつけたヘッドチップ及びサスペンションを、その金の部分同士を超音波を用いて相互拡散させることで高精度接合を行い、磁気ヘッドとハードディスクとの安定した接触を可能とし、接触型磁気ヘッドを実現したものである。
 本新技術により、世界で初めての接触型磁気ヘッドが実現し、記録密度の向上することから、パーソナル・コンピュータなど各種ハードディスク用磁気ヘッドに広く利用されることが期待される。

「ハードディスク用接触型薄膜磁気ヘッド」(背景・内容・効果)

図 浮上型磁気ヘッド(従来技術)と接触型磁気ヘッド(新技術)の概要

表 新技術と従来技術の比較

写真 接触型薄膜磁気ヘッド

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