1.課題名
地すべり地形分布図データベース
2.開発(運用)責任者
防災科学技術研究所 |
開発責任者 井口 隆 |
運用責任者 井口 隆 |
3.課題概要
「地すべり地形分布図データベース」は、防災科学技術研究所が1982年から発行している地すべり地形分布図の図面情報を数値化し、インターネットを介して研究者・防災関係者など誰もがいつでも見る事が出来るように作成したデータベースである。データベースの中身は滑落崖、移動体、内部構造といった地すべり地形を構成する各要素の空間情報とその属性情報から構成されている。任意の地域における地すべり地形をインターネット上に表示するため、地理情報システムを用いた検索・地図作成など機能を装備したデータベースシステムの構築と地図情報の数値化を行なった。
〈データ項目とデータ量〉
対象範囲(都道府県別) |
青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島、新潟、群馬、栃木、長野、岐阜、福井、滋賀、愛知の全域または一部 |
5万分の1地形図の図面数 |
182面 |
地すべり箇所数 |
約75,000箇所 |
(データ件数は平成13年12月現在) |
4.アクセス状況
公開時(平成12年10月)~平成13年11月 : 17,700件
(平成14年2月1日現在 :21,349件)
5.外部発表
*開発中
年 度 |
件 数 |
備 考 |
平成10年度 |
2件 |
第37回地すべり学会研究発表会他 |
平成11年度 |
1件 |
第38回地すべり学会研究発表会 |
平成12年度 |
1件 |
第39回地すべり学会研究発表会 |
*開発終了後
年 度 |
件 数 |
備 考 |
平成12年度 |
2件 |
十津川災害111周年記念集会他 |
平成13年度 |
2件 |
情報地質学会研究発表会他 |
6.事後評価結果
6-1. |
当初計画の達成度 |
|
当初予定していた範囲(5万分の1地形図150面に対する地すべり地形)のデータベース化は完了しており、当初計画は充分達成されたといえる。 |
6-2. |
データベース自体の評価 |
|
検索システムも完備されており、JAVA版とHTML版を用意するなどのユーザ対応の工夫も見られ、データベースとしての完成度は高い。国内外から一定量のアクセスもあること等から判断して、ユーザからも高く評価されていると考えられる。
また、土地利用、建築、開発、自治体行政など、地質研究者に限らない幅広い利用者層が想定され、その有用性が評価できる。
ただ、ユーザが情報を入手する際にやや時間を要する点については改善の余地を残す。 |
6-3. |
データベース化終了後の公開運用体制及び運用状況 |
|
公開開始以降平均して毎月1,300件のアクセスがあり、かつ増加傾向にあること、及び新しいデータも随時追加され、研究所内でのサポート体制も整っているため、運用は概ね順調であると判断される。 |
6-4. |
運用の今後の展開 |
|
当該研究所の中期計画に組み込まれたことで運用予算が確保され、本データベースの継続性が保たれることとなり、「研究情報データベース化事業」の政策的趣旨に沿った望ましい展開であると評価できる。
今後の展開としては、できるだけ早く全国の地すべり地形データをデータベース化することが望まれる。 |
6-5. |
その他 |
|
印刷版として刊行された地すべり地形分図をデータベース化するまでに2年を要しているが、迅速なデータ公開を考慮すれば、印刷版地図作成行程自体から数値化処理を組み入れるなど、地すべり地形図の電子化処理方法について再考する必要があるのではないか。また、公開システムにおける地点検索等の応答が若干遅い等の指摘があった。 |
7.総合評価
研究機関だけでなく、自治体や民間企業、一般からのアクセスも多く、幅広いユーザ層で本データベースに対する関心と要求が高いことがうかがえる。したがって、今後のデータの増加とともに、さらに貴重なデータベースとなることが期待できる。
検索結果の表示に時間がかかる点については今後改善の必要があるものの、総合的には、当初計画は達成されており、今後とも安定的なデータの追加や運用が見込めるため、全会一致で「A(良好)」であると評価する。
|