抗肥満・抗脂血症薬の開発


抗肥満症薬研究開発チーム/リーダー 鈴木邦夫、サブリーダー 金子恭庸 

研究の概要
コレステロールおよび植物ステロール(フィトステロール)から誘導したコレステノンおよびフィトステノンに内臓脂肪や血清脂質を低下させる作用があることを見い出したことから、これらの化合物を用いて新しい作用機序をもつ抗肥満・抗脂血症薬および抗糖尿病薬の開発を行っている。
 
5−カンペステノンの抗肥満・抗脂血症作用
フィトステノンの一種5−カンペステノン(C28H46O)は高脂肪食(ラード20%添加飼料)で飼育したSDラットに対し抗肥満・抗脂血症作用がみられる。5−カンペステノンを0.5%に餌に混ぜて動物に与えると、14週間で体重が15%、皮下脂肪が35%、腹腔内脂肪(内臓脂肪)が50%、および血清トリグリセライド(中性脂肪)が77%それぞれ減少した。5−カンペステノンの作用は内臓脂肪や血液中の中性脂肪の減少にとくに効果的であり、下痢などの副作用はみられない。
 
5−カンペステノンの糖尿病改善作用
5−カンペステノンは肥満性糖尿病モデル動物であるC57BL db/dbマウスの糖尿病症状を改善する作用がある。無処置のdb/dbマウスの血糖値は10週間で270mg/dlから720mg/dlまで直線的に増加したが、5−カンペステノンを飼料に0.3%に添加して与えると血糖値はほとんど増加せず、尿への糖の排泄も抑制された。さらに5−カンペステノンの投与は血液中の中性脂肪と遊離脂肪酸も低下させた。動物にはとくに副作用はみられず、毒性は極めて低いと考えられる。
 

This page updated on February 20, 2002

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