科学技術振興事業団報 第21号

平成9年5月22日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報担当)

「最大値記憶型変位センサ」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 中村守孝)は、元東京大学工学部教授(現財団法人ファインセラミックスセンター専務理事)柳田博明氏らの研究成果である「最大値記憶型変位センサ」を当事業団の委託開発課題の平成6年度課題として平成7年3月から平成9年3月にかけて株式会社長野計器製作所(社長 宮下茂、本社 東京都大田区東馬込1丁目30番4号、電話 (03)3776-5311、資本金2億円)に委託して開発を進めていた(開発費1億2百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 建築物や橋梁などの構造物の安全性評価や維持保全には、施工状態や老朽化の程度を診断するための構造物の異常な変形(変位)を検知することが重要である。従来、構造物の変形を把握するために、歪みゲージを構造物に貼り付けるなどの方法が取られてきた。しかし、許容範囲を越える変形が生じていないことを確認するには、常時監視するか、または瞬間的な変形を記録することが必要であり、システムが複雑化するという問題点があった。
 本新技術は、力を受けて変形した構造物の変位の最大値を検出・記憶するセンサに関するものである。具体的には、カーボンファイバを平行且つ等間隔に配列し、その近辺に構造物の変位に連動してこの線を順次切断する刃を設けたものである。構造物が変形した場合に変形量の大きさに比例した本数のカーボンファイバが破断することにより、変位が生じたこと及びその大きさを検出・記憶できるようにしたものである。計測は、通電によるカーボンファイバの合成抵抗変化を測定することによって簡便に行える。
 本新技術は、力を受けて変形を伴う構造物各部の変位の最大値を検出し記憶する変位センサに関するものである。変位の検出・記憶の機構は、変位に対応した複数本のカーボンファイバが、センサを取り付けた二点間の変位に応じて順次切断されるととにより変位を記憶するものであり、検出も通電によるカーボンファイバの合成抵抗変化を測定することによって簡便に行える特徴をもつ。
 本新技術よるセンサは、構造や動作原理が単純で、広い測定レンジに対応でき、建築物などの構造物の最大変位を自ら記憶するなどの特徴を有するため、構造物の安全評価や維持保全に利用が期待される。

「最大値記憶型変位センサ」(背景・内容・効果)

最大値記憶型変位センサ

最大値記憶型変位センサの取付例

※詳細情報についてご希望の方は、当事業団総務部広報担当までお申し込みください。
 TEL:048-226-5606 FAX:048-226-5646


This page updated on March 5, 1999

Copyright© 1999 Japan Science and Technology Corporation.

www-pr@jst.go.jp