別紙1

粉末法Nb3Sn超電導線材の製造技術


 
課題名:粉末法Nb3Sn超電導線材の製造技術
研究者:東海大学工学部 教授 太刀川恭治
委託予定企業:株式会社神戸製鋼所(代表者 取締役社長 水越 浩士
        本社 神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号、資本金2,136億円)
開発期間3年、委託開発費4.4億円の予定

 本新技術の背景、内容、効果は次のとおりである。
 本新技術は、製造工程に粉末法を採用することにより、従来のブロンズ法より高磁場発生が可能となる次世代のNb3Sn超電導線材を製造するものである。
 高磁場発生用として広く用いられているブロンズ法Nb3Sn超電導線材は、製法上の理由から性能が限界に達しており、本新技術の製法により、より高性能の超電導線の実現が期待される。
 本新技術の背景、内容、効果は次のとおりである。

(背景) より高性能化が望まれている超電導マグネット

 高磁場発生用の超電導線材としては、従来よりブロンズ法(ブロンズ中にNbを配置し、これを熱処理する事により、ブロンズ中のSnを拡散反応させNb3Sn超電導層を生成する方法)によるNb3Sn超電導線材が用いられてきており、これを用いたマグネットにより4.2Kで18テスラの磁場が発生出来るまでになっているが、タンパク質等の構造解析等に必要なNMR用マグネットにはさらなる高磁場が要求されるようになっている。しかしながら、ブロンズ法では、Cu中のSnの固溶限界からその性能は限界に達しており、性能向上を可能にする新たな製法が模索されていた。

(内容) 粉末法により磁場特性の高いNb3Sn超電導線材を実現

 本新技術は、Ta-Sn粉末をNbシースに充填し伸線した後、熱処理するという新しい方法(粉末法)によりNb3Sn超電導線を製造するものである。Ta-Sn粉末の場合、ブロンズの場合と異なり、Snの固溶限界の問題は無く、最適な組成でSnを配合したTa-Sn粉末を原料とすることにより、Sn中にNbを拡散反応させることが出来るため、厚いNb3Sn超電導層を形成することができ、ブロンズ法に比べ磁場特性に優れた超電導線を得ることができる。
 また、ブロンズ法の場合、伸線加工工程でブロンズが硬化するため、焼鈍を要するという製造上の問題があったが、粉末法ではこの問題を回避できる。

(効果) 高性能の超電導電磁石として、NMR用など幅広い応用に期待

 本新技術には次のような特徴がある。
(1) Ta-Sn粉末とNbシースを反応させることにより、厚いNb3Sn層を生成できる
(2) Ta添加効果により線材の磁場特性が大幅に向上する
(3) 線材加工が容易になる
 従って、次のような用途が期待される。
(1) NMR用マグネット(4.2Kで18.8テスラ以上)
(2) 高エネルギー加速器用、核融合用マグネット

(注) Cu:銅、Nb:ニオブ、Sn:錫(すず)、Ta:タンタル は何れも元素名
ブロンズ:銅と錫からなる合金
 

This page updated on January 31, 2002

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