補足説明資料


 
出芽酵母の細胞周期と染色体DNA複製
 出芽酵母の細胞周期の各時期での、細胞の形態(出芽酵母はまず小さな芽を出し、芽が成長すると分裂する)を左に、染色体DNA複製を右に、Cdkの活性(黒塗り部分の厚さが活性の強さを示す)を中央に示している。S期に入るとDNAの複製が開始するが、そのためにはDNA合成を行うDNAポリメラーゼが複製を開始する領域へ結合しなければならない。この結合にはDpb11が必須であるが、Dpb11が機能を発揮するためにはSld2と複合体をつくることが必要である。この複合体形成には、CdkによるSld2のリン酸化が必要である。従って、CdkはSld2を介して染色体DNAの複製制御を行っていることになる。今回の研究では、図1中の点線内の部分を明らかにした。
 
語句の説明
Cdk (サイクリン依存性キナーゼ)
 触媒サブユニットとその活性化サブユニットであるサイクリンからなるタンパク質リン酸化酵素。サイクリン量の変動により、Cdk活性が制御されている。高等動物では、複数種の触媒サブユニット及びサイクリンが存在し、その組み合わせにより細胞周期が制御されている。酵母では1種類の触媒サブユニットと複数種のサイクリンの組み合わせにより、細胞周期の制御が行われている。S期に働くサイクリンと触媒サブユニットが結合したものをS期Cdkと呼んでいる。
S期
 真核細胞の細胞周期のうちDNAが合成される時期をいう。
M期
 核の分裂と細胞の分裂が簡単に観察できる過程をあわせてM期という。
 

This page updated on January 24, 2002

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