科学技術振興事業団報 第203号

平成14年1月17日
埼玉県川口市本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)

神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1
財団法人神奈川科学技術アカデミー
電話(044)819−2035

ホルムアルデヒド検出試薬及びスマートケミカルセンサーシステムの開発

 科学技術振興事業団(JST:理事長 沖村憲樹)と神奈川県(県知事 岡崎 洋)は、財団法人神奈川科学技術アカデミー(KAST:理事長 長倉三郎)を中核機関として、平成10年度から地域結集型共同研究事業「課題名:独創的光材料の開発による環境技術の創生」を実施しています。

 この度、この事業の中から、環境中の有害化学物質の検出・定量に関する研究成果が出されたので発表します。

 ホルムアルデヒドは、「シックハウス症候群」の原因物質として問題視されているもので、厚生労働省の定めた室内濃度指針値は0.08ppmとなっています。今回開発した試薬は、検出下限値が0.05ppmと、この指針値に充分対応する検出感度をもっており、また、測定の操作も、ホルムアルデヒドと接触した試薬の色の変化を見るだけでよく、非常に簡便にできるところに特長があります。(資料1)試験紙にすることも可能なことから、建築現場等での簡便迅速な測定に道を拓くものと期待されます。

 スマートケミカルセンサーシステムは、水銀・亜鉛・カドミウムなど複数物質の一括同時測定を可能にするものです。一般に、複数の有害成分を含んだ試料の濃度測定においては、個々の有害成分ごとに測定を行う必要があり、また、それぞれの測定は、他の有害成分に影響されないための複雑な前処理を必要としたり、あるいは測定対象成分だけに反応する高度に選択的なセンサーを用いて行われるものでした。今回開発したシステムは、複数の成分に反応する中程度の選択性のセンサー物質を複数同時に用い、その応答を、計算機を利用して逆解析することにより、複数の成分の濃度を一括して同時に測定するものです。(資料2)測定誤差も数%程度であり、工場廃液処理施設や浄水施設などでの現場のニーズに応える測定手段に育つことが期待されます。 

(問い合わせ先)
財団法人神奈川科学技術アカデミー
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