○ | 課題名:デカボランイオンビーム発生装置 |
○ | 研究者:京都大学名誉教授 山田公 他 |
○ | 委託予定企業:日新イオン機器株式会社(代表取締役社長 辻
貞夫 本社 京都府京都市南区久世殿城町575番地、資本金4.9億円) |
○ | 開発期間3年、委託開発費10億円の予定 |
本新技術は、超微細半導体素子の製造プロセスにおいて、性能に悪影響を与えるリーク電流が生じにくい極浅接合を形成するためのデカボランイオンビーム発生装置に関するものである。本新技術では、ホウ素10原子からなるデカボラン(B10H14)蒸気に電子をあててイオン化し、加速するため、小さな電流で多くのホウ素を低速度かつ収束したビームとして注入することができ、極浅p型不純物層の形成が可能となる。
本新技術は、半導体の微細なp型層形成に必要な技術となりうることから、集積回路の高集積化、高速化、低消費電力化に寄与することが期待される。
本新技術の背景、内容、効果は次のとおりである。
(背景) | 軽いホウ素イオンを半導体ウエハの極浅い領域のみに精度良く注入できるイオン注入技術が望まれている |
集積回路の素子中のp型半導体層は、ホウ素をイオン化し電位差で加速して半導体ウエハ表面の浅い領域に注入する方法で形成される。集積度を上げるために素子を小型化するには、加速電位差を低くしてイオンビームを低速化することで注入層をより浅くする必要がある。しかし、電位差が低いとイオンを十分引き出すことができず、注入効率が低下することや、ホウ素イオンは軽いためイオンビームを低速度にするとイオン間反発力によりイオンビームが広がり均一な注入が困難となるといった問題がある。
(内容) | 低速でホウ素イオン注入が可能なデカボランイオンを大電流で発生させる |
本新技術は、質量が大きいためイオン間の反発力でも広がりにくいことに加えて、1イオンあたり10個のホウ素を含むため低いイオン電流値であってもホウ素注入効率が高いデカボラン分子を、加熱やイオン化衝撃による分解を抑制することで効率よくイオン化することで大電流イオンビームを発生させる技術に関するものである。
(効果) | 微細集積回路に対応できる極めて浅いホウ素注入層の形成が可能となる |
本新技術には次のような特徴がある。
(1) | 従来困難であった浅いホウ素注入層が形成できる。 |
(2) | ビームの発散が少なく、微細な領域にホウ素イオンを打ち込める。 |
(3) | 熱処理に伴うホウ素拡散が少ない。 |
(4) | ゲート0.1μm以下のMOSFETの作製に必要な浅い接合が実現できる。 |
This page updated on January 11, 2002
Copyright©2002 Japan Science and Technology Corporation.