(別紙3)

平成13年度採択 研究課題概要一覧


 
研究領域「社会システム/社会技術論」
氏名 所属機関 所属・役職など 研究課題名 研究の概要
清水 博 金沢工業大学 場の研究所 所長・教授 自動化された社会的システムに生じるカオス(危機)とその制御 本研究では、効率向上のため自動化の進んだ社会的システムの中で、個人の共同体意識の低下などにより人為的危機が発生すること対し、人間の心を取り込んだ社会的システムの制御論を世界で初めて考案する。具体的には、人間(役者)と場(舞台)を位置づけ、場の共有により人々の自律分散制御を可能にし、危機に対応するシステムの構築を可能にするものである。この方法により、バーチャルな舞台(場)にて、人間の心の無限定な変化から生まれる危機の発生を減らす新しい場の技術を提案し、その活用を研究する。
竹内 啓 明治学院大学 国際学部 教授 地球温暖化問題に対する社会技術的アプローチ CO2排出による地球温暖化の問題は、その自然科学的知見および予測の不確実性、影響の長期性と多面性、利用できる技術の多様性などにより、まさに社会技術的対応を必要とする重要な課題である。そこで事実の確認にもとづき、次の論点について技術的、政策的可能性を展望し、具体的な提案と社会技術的アプローチのモデルを提示する。
温暖化問題に関する研究の現状の検討
気候変動の地域ごとの予測、特に日本についての検討
温暖化の自然的影響、特に生態系及び人間健康への影響
温暖化の社会的影響、産業、社会施設への影響
国際的協調および対立の可能性の展望
藤垣 裕子 東京大学 大学院総合文化研究科広域システム科学系 助教授 公共技術のガバナンス:社会技術理論体系の構築にむけて 科学技術の社会的ガバナンスについて、理論的知見の蓄積と共有を図ることが目的である。課題ごとに個別に論じられ、相互に枠組みを共有できていない現状に鑑み、基盤的知識の共有を図るための事例分析、共通枠組みとコンセプトの抽出、ハンドブックの編纂を行う。これらを通して、「社会技術」概念への問い直し、公共に役立つ科学的知識産出のための「評価」機構再考、「科学技術と社会」教育の基盤整備への貢献が期待される。
若松 征男 東京電機大学 理工学部一般教養系列 教授 開かれた科学技術政策形成支援システムの開発 我が国でも社会の多様な視点や知見を政策に反映することが要請されてきたが、広く社会に開かれた様々な意見形成/調整/助言・勧告システム(包括的に「パネル」制度と呼ぶ)が有効である。この制度を我が国の科学技術政策形成に導入する上での課題と展望を示すために、先行する海外の制度事例や国内で個別に展開している類似事例の分析を基礎にシステム設計を行う。政策の社会的形成を支援する具体的ツール(社会技術)を提起する成果が期待される。
 
研究領域「循環型社会」
氏名 所属機関 所属・役職など 研究課題名 研究の概要
植田 和弘 京都大学 大学院経済研究科 教授 都市と農村の連携を通じた有機物循環システムの再生 循環型社会へ向けた構造変換を進めるためには、経済や産業構造、技術体系のあり方をも視野に入れた社会システムとしての総合的な解析が不可欠である。本研究では、有機物循環を経済的・社会的・技術的な側面から検討し、都市と農村の連携による循環型社会への転換を探る。また、モデルケースとして、自治体と企業の連携により実フィールドへの適用を試みる。これらの研究を通じて、循環型社会への転換のための方法や推進体制とその可能性が提示されることが期待される。
原田 幸明 独立行政法人 物質・材料研究機構 材料研究所エコマテリアル研究チーム チームリーダー マテリアルリース社会システム構築のための総合研究 本研究はマテリアルリース社会システムの構築を基に資源生産性の向上を図ることを目的として、経済、社会システム、技術の諸側面から、マテリアルリースシステムの社会的有効性、実現に向けての時間座標と技術的、政策的、意識改革的課題を明らかにするものである。マテリアルリースとは必ずしも明示的なリースの形態をとる必要はなく、素材・物質の生産者が最終管理責任の所在を経済行為の中に含んで素材・物質を提供するシステムである。この社会システムが構築されることにより、従来行われてきたカスケード型の産業内物質循環ではなく、21世紀型の資源生産性の高い物質循環システムを可能とすることが期待できる。
福島 哲郎 (株)日本環境認証機構 取締役社長 環境格付け指標、格付け手法、情報公開方法の開発 サステイナブルな社会を、規制によらず市場メカニズムによって実現するために、公平かつ簡明な環境価値情報を共有し、これに基づいて行動する市民社会を構築することが求められている。本研究では、循環型社会の具体的イメージを明らかにし、それに向けて市民の行動を促すような環境格付け手法を開発し、評価を社会に適用するための仕組みについても研究を行う。日本社会の実情に即した環境格付け情報を世界に発信することにより、我が国の市民社会を啓発できるのみならず、日本及び日本企業が外国から信頼され、今後のビジネス活動が円滑化されることが期待される。
 
研究領域「脳科学と教育」
氏名 所属機関 所属・役職など 研究課題名 研究の概要
川島 隆太 東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授 前頭前野機能発達・改善システムの開発研究 脳科学的根拠に裏付けられた、前頭前野機能の発達・維持・増進可能とする学習システムの理論とアプリケーションを開発することが目的である。教育心理学者と脳科学者、障害者教育実践者、高齢者ケア実践者からなるチームで、痴呆を伴う高齢者を対象とした教育実践と教育心理学的理論構築、脳イメージングをくり返すことにより、教材及び教育方法を開発する。
定藤 規弘 岡崎国立共同研究機構 生理学研究所大脳皮質機能研究系心理生理学研究部門 教授 人間のコミュニケーション機能発達過程の研究 非侵襲的脳機能画像法を用いてコミュニケーションの基盤としての感覚統合の発達過程を解明することをめざす。視聴覚・感覚統合に関与する神経回路の同定とその形成過程、感覚脱失にともなう機能領野再構築機序を解明する。コミュニケーションの言語・非言語性要素それぞれを担う機能分野の発達機序を明らかにすることにより、子供の個々のニードに基礎をおいたコミュニケーション能力を高める教育法の確立に資することが期待される。
瀬川 昌也 瀬川小児神経学クリニック 院長 神経回路の発達からみた育児と教育の臨界齢の研究 幼小児の問題行動を早期の環境障害によるアミン系神経系の異常によるととらえ、それを解明するため病的症例、障害実験による臨床医学的、基礎科学的研究から発達過程のアミン系神経系の役割を解明、さらに、乳、幼児等の睡眠・覚醒リズムとロコモーションの実態を調査し、幼小児の異常行動発現の要因を究明、その発現を未然に予防するとともに正常脳をより正常に発達させる神経科学的育児法と教育法を立案することを目的とする。
 

This page updated on December 21, 2001

Copyright©2001 Japan Science and Technology Corporation.