科学技術振興事業団報 第196号

平成13年12月20日
埼玉県川口市本町4−1−8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)

「表面力測定装置」の開発に成功

 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、東北大学 教授 栗原和枝氏の研究成果である「表面力測定装置」を当事業団の委託開発制度の課題として、平成10年3月から平成13年3月にかけて日本レーザ電子株式会社(代表取締役 米田勝實 本社 愛知県名古屋市熱田区三本松町20番9号、資本金 約1億5千万円、電話:052-889-1484)に委託して開発を進めていた(開発費190百万円)が、このほど本開発を成功と認定した。
 表面力測定装置は、様々な物質の表面間に働く分子レベルの相互作用力(表面力)を直接測定する事を目的とした装置である。従来技術では不透明試料の測定が不可能であり、また、測定試料間の距離の読みとりも光干渉法により熟練を要するものであった。
 本新技術は、2つの表面間に働く微小な力の大きさを、表面間の距離の関数として自動測定できるようにしたもので、その内容は @表面力測定用試料台の駆動に、制御が容易かつ精密制御が可能な移動機構として、パルスモータに差動ばね機構を組み合わせた微小移動機構の開発 A試料間に働く力による板ばねのたわみ量をレーザプローブ(レーザ干渉式変位計)で測定する方式とし、リアルタイムで変位量およびその方向を測定可能としたレーザプローブの開発に成功した。この結果、力の分解能100nN以下、距離測定分解能1nm以下、応答速度100ms 以下の性能が得られ、さらにこれらをコンピュータで制御出来るようにし、測定の自動化を実現した。
 本新技術により、不透明な試料等広範囲な物質の表面力の測定や表面力の動的な測定の自動化が可能であり、物質の表面・界面に係わる研究のみならず、新薬の創製・評価、バイオテクノロジー分野、分子レベルでの微細加工など、様々な分野での利用が期待される。

「表面力測定装置」の開発に成功(背景・内容・効果)
開発を終了した課題の評価
図−1 全体システム構成図
図−2 微小移動機構(原理)
図−3 レーザプローブ構成図
図−4 開発品の外観

(注) この発表についての問い合わせは以下の通りです。
科学技術振興事業団 開発部 管理課長 夏見 博康
井口 穣 [電話(03)5214-8435]
日本レーザ電子株式会社 技術開発本部 係長 川井 宏支[電話(052)889-1456]

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