別紙2

 

課題名:高速酸化法による光学薄膜の低温形成技術

研究者:金沢大学工学部長・教授 畑朋延
委託予定企業:CBCイングス株式会社(代表取締役社長 森本孝一、
         本社 東京都中央区月島二丁目15番13号、資本金1.4億円)
開発期間3年、委託開発費2.9億円の予定

 本新技術は、樹脂基板上に堆積した金属薄膜を、加速エネルギーの高い酸素イオンを打ち込み反応させる高速酸化法により速やかに酸化し光学薄膜を形成するものである。
 本新技術では、低温で酸化速度が大きく酸化物が形成できることから、樹脂基板上に緻密で密着性が強く耐久性に優れた光学薄膜が得られ、表示装置の反射防止膜、タッチパネル用の透明導電膜等での利用が期待される。
 本新技術の背景、内容、効果は次のとおりである。

(背景) 樹脂基板を加熱することなく密着性に優れた光学薄膜を形成する低温成膜技術が望まれている

 従来、基板上に光学薄膜を形成させるためには基板を加熱しながら蒸着させる真空蒸着法が主な方法であった。耐熱性の低い樹脂基板では十分に加熱ができないため樹脂基板上に形成される薄膜は隙間の多い柱状構造となり、水分の浸透などによって剥離や微小なひび割れが生じる問題があった。

(内容) 高速酸化法により、基板上に低温で光学薄膜を形成する

 本新技術は、樹脂基板上にマグネトロンスパッタ法でチタンまたはケイ素の金属薄膜を堆積した後、加速させた酸素イオンを金属薄膜と反応させ二酸化チタンまたは二酸化ケイ素を形成し、これらの酸化物薄膜を交互に積層させることで、光の透過性などの光学特性に優れた光学薄膜を低温で形成させる技術に関するものである。

(効果) 穏和な条件下で基板上に緻密で密着性が強く耐久性に優れた光学薄膜の形成が可能

 本新技術には次のような特徴がある。

(1) 加熱することなく樹脂基板に密着性に優れた光学薄膜が形成できる。
(2) 光学薄膜の光透過性を向上できる。
(3) 光学薄膜を高速で成膜できる。

 従って、次のような用途が期待される。

(1) レンズ、表示画面用導光板、光ファイバーの端面に対する反射防止膜
(2) UV、IRカットフィルター、ダイクロイックフィルター、コールドミラー等の各種エッジフィルター
(3) 透明導電膜
 

This page updated on December 14, 2001

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