(別紙1)

計算科学技術活用型特定研究開発推進事業
平成13年度 選定研究開発課題要旨


物質・材料分野

課 題 名 ナノスケール触媒創成シミュレータの開発
代表研究者 大野 隆央   (物質・材料研究機構 サブグループリーダー)
課題の要旨  本研究は、ナノスケールで制御された表面触媒系における触媒反応を解析するための第一原理に基づく大規模シミュレーション手法を開発し、新奇な機能をもつナノスケール触媒の設計システムを構築し、計算科学技術による触媒研究のブレークスルーを目指すものである。 
 
課 題 名 並列計算グリッドを用いたハイブリッド量子/古典数値解析法の開発
代表研究者 尾形 修司 (山口大学 助教授)
課題の要旨  複数の並列計算機をネットワーク接続した計算グリッドを効率良く利用し、精度の異なる幾つかの量子及び古典的計算手法を適切に動的に組み合わせることで、様々なナノ材料の実際的シミュレーションを高精度に行うコードを開発する。 
 
課 題 名 ナノ物質・量子シミュレーターの開発
代表研究者 押山 淳   (筑波大学 教授)
課題の要旨  量子力学の第一原理に立脚した計算科学のアプローチと、より多数の原子群を扱える経験的アプローチを有効的に結合したシミュレーションにより、ナノメートルのスケールでの物質創成の制御の指針を得、さらにそのナノ物質の機能予測を行う。 
 
課 題 名  DNAのナノ領域ダイナミクスの第一原理的解析
代表研究者 田中 成典 (東芝 研究開発センター 主任研究員)
課題の要旨  ナノ領域におけるDNAの電荷移動と転写制御のダイナミクスを高速・高精度分子軌道法及びその動的拡張に基づき専用並列計算エンジン等を援用して第一原理的に解析し、分子デバイスやポストゲノム研究の基盤となる技術・知見を提供する。
 
課 題 名 量子多分子系ダイナミクス・シミュレーションの確立と応用
代表研究者 衣川 健一 (奈良女子大学 助教授)
課題の要旨  従来の物質・材料系シミュレーションではアプローチできなかった、低温物質、超流体、プロトンのような、核が量子化された「量子多分子系」のダイナミクスに対するシミュレーション技術を発展させ、その確立と未踏の物性・現象の解明への応用を進める。 
 
課 題 名 第一原理計算によるハイブリッド分子動力学シミュレーション
代表研究者 蕪木 英雄 (日本原子力研究所 主任研究員)
課題の要旨  電子、原子レベルの数値シミュレーションを統合する3つのハイブリッド分子動力学手法を相互の関連をつけながら開発し、脆性、延性破壊現象の大規模数値シミュレーションを行う。また、これら具体的課題を実現するため高速ネットワークを利用する数値実験環境を構築し、実証する。
 

生命・生体分野

課 題 名 自己組織化地図によるゲノム情報の包括的視覚化
代表研究者 池村 淑道    (国立遺伝学研究所 教授)
課題の要旨  自己組織化マップ(SOM)の高いクラスタ分離能を基盤に、2−5連の塩基及びアミノ酸の頻度解析を行い、機能未知の遺伝子の機能推定法の確立と高速ネットワークを介した統合データベースの構築を行う。
 
課 題 名 配列から機能への蛋白質ダイナミカルモデリング
代表研究者 笹井 理生  (名古屋大学大学院 教授)
課題の要旨  アミノ酸配列から立体構造へ、そして機能へ向かう情報の流れを包括的に理解する新手法の研究開発を行う。階層的ダイナミクスの新概念を創出し、統計力学と分子動力学の研究者からなる研究ネットワーク上に、知識を構造化・データ化して新予測法、解析法を構築する。 
 
課 題 名 GRIDテクノロジーを用いた創薬プラットフォームの構築
代表研究者 中馬 寛   (徳島大学 教授)
課題の要旨  ポストゲノム時代の新しい合理的薬物設計法として、大規模分子計算と分子構造データベース処理が必須となる。このために、新しい広域分散技術であるGRIDテクノロジーを活用して、各種の大規模分子計算と分子の大規模な3次元構造構造データベースを統合した「創薬プラットフォーム」を構築する。
 
課 題 名 心臓血管臨床リスク評価生体力学シミュレータ
代表研究者 山口 隆美   (東北大学大学院 教授)
課題の要旨  高速ネットワーク上の系統的計算生体力学シミュレ−ションにより、血流と血管壁の力学的・病態生理学的な相互作用を解析し、心臓血管病発生のリスクと、予防的治療手段のリスクを定量的に比較する予測に基づくリスク管理システムを開発する。
 

地球・環境分野

課 題 名 マルチスケール海洋環境シミュレータの開発と実用化
代表研究者 経塚 雄策  (九州大学大学院 教授)
課題の要旨  海洋環境改善装置や人工構造物などで重要な数メートル程度のスケールの流動と拡散問題から海洋における数10km以上の広域スケール問題を一貫して解析するための数値モデルを共同開発し、インターネットによって一般に公開する。 
 
課 題 名 地震災害予測のための大都市圏強震動シミュレータの開発
代表研究者 纐纈 一起(こうけつかずき)( 東京大学 地震研究所 助教授)
課題の要旨  地震が起こす強い揺れ(強震動)を正確に予測するために、(1)大都市圏の複雑な三次元地下構造を高精度でモデル化し、(2)モデルにおける地震動伝播を高精度かつ現実的な計算規模の数値シミュレーションで再現し、さらに(3)シミュレーション結果をわかりやすい形で提示するソフトウエアを開発して、大都市圏強振動シミュレータを構築する。 
 
課 題 名 火山熱流体シミュレーションと環境影響予測手法の開発
代表研究者 藤田 英輔  (防災科学技術研究所 主任研究員) 
課題の要旨  火山活動の原因であるマグマ・熱水・火山ガスなどの火山熱流体の挙動を把握するため混相流シミュレ−ションを行い、観測データとの比較を通して生活環境へ与える影響をリアルタイムで予測する手法を開発する。 
 
課 題 名 環境・災害監視のためのアジア衛星観測ネットワークの構築
代表研究者 安岡 善文  (東京大学 生産技術研究所 教授)
課題の要旨  本研究では、アジア地域を対象として、環境・災害に関する広域監視システムを実現するために、衛星データ(TERRA/MODIS,NOAA/AVHRR等)を準実時間で収集、転送、処理・解析、アーカイブする衛星観測ネットワークを構築し、さらに衛星データに基づく基盤データセットを整備する。
 

情報通信分野

課 題 名 ソフトウェアプロダクトの収集・解析・検索システム
代表研究者 井上 克郎   (大阪大学大学院 教授)
課題の要旨  本システムは、ネット空間上に存在する種々のソフトウェアプロダクトを収集・分類・解析し、保存する。そしてキーワードやコード片等のキーで、効率よく検索できるようにする。本研究によりソフトウェア開発の生産性が飛躍的に向上することが期待される。  
 
課 題 名 4次元デジタル宇宙データの構築とその応用
代表研究者 海部 宣男  (国立天文台 台長)
課題の要旨  最新の観測データと大規模シミュレーション計算のデータを結びつけ、太陽系から膨張宇宙までの空間構造と時間発展を含む4次元宇宙の大規模デジタルデータを構築する。またこれを用い、ネットワーキングによる研究、教育、商用、美術など広い分野での応用に提供を図る。
 
課 題 名 コモディティグリッド技術によるテラスケール大規模数理最適化
代表研究者 松岡 聡    (東京工業大学 教授)
課題の要旨  PC技術と高速ネットワークによるコモディティグリッド技術により、テラスケールの数理最適化を行うミドルウェア 。テストベッドを開発し、蛋白質の構造決定問題など種々の大規模最適化問題で世界記録を達成、並びに合算で数テラフロップスを1週間以上維持する。
 
課 題 名 広域ビジュアルコンピューティング技術
代表研究者 村木 茂  (産業技術総合研究所 ボリュームグラフィックス連携研究体長 )
課題の要旨  我々が開発中の高並列計算可視化システム(VGクラスタ)を広域ネットワーク上で結合し、一研究機関では実現困難な可視化を伴う大規模シミュレーションを可能にする広域ビジュアルコンピューティング技術を研究する。
 

スーパーコンピュータネットワーク型

課 題 名 計算機ナノマテリアルデザイン手法の開発
代表研究者 赤井 久純   (大阪大学大学院 教授)
課題の要旨  第一原理電子状態計算に基づいて、ナノスピントロニクス材料、ナノフォトニクス材料をデザインする。このようなデザインのための仮想実験室システム「ナノマテリアルデザイン・エンジン」を開発し、応用ソフトとして公開する。
 
課 題 名 蛋白質の量子化学反応解析システムの開発
代表研究者 小池 秀耀  (株)富士総合研究所 上席執行役員
課題の要旨  量子化学に基づく蛋白質の機能・構造解析を実現することを目的とし、スーパーコンピュータ・ネットワーク上で分散、並列処理可能な、大規模蛋白質の量子化学計算システムを開発する。
 
課 題 名 仮想スーパーコンピュータセンタ利用環境GridLibの構築
代表研究者 関口 智嗣  (産業技術総合研究所 グループ長)
課題の要旨  GridLibは高速ネットワークで接続された複数のスーパーコンピュータによる仮想スーパーコンピュータセンタを簡便に、効果的に、かつ安全に利用させるための環境であり、その基盤技術の研究開発と整備を行い実用的な利用に供する。
 

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